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ファスト風土と付加価値

『ここは退屈迎えに来て』という小説がありますわねぇ。

そのなかで、ファスト風土と呼ばれる地方風景が描写されています。

曰く、

ブックオフ、ハードオフ、モードオフ、TSUTAYAとワンセットになった書店、
東京靴流通センター、洋服の青山、紳士服はるやま、ユニクロ、しまむら、
西松屋、スタジオアリス、ゲオ、ダイソー、ニトリ、コメリ、コジマ、ココス、
ガスト、ビッグボーイ、ドン・キホーテ、マクドナルド、スターバックス、
マックスバリュ、パチンコ屋、スーパー銭湯、アピタ、そしてジャスコ。

まぁ、確かに、田舎って、こんなもんですよ。

昔の若者には、「俺ら東京さ行ぐだ」というような、都会志向があったけれど、
最近の若者はわざわざ都会に出ようなどと思わなくなったと言われます。
それを、若者のハングリー精神の欠如みたいに結論づける論調があるけれど、
そんなたいそうな話でしょうかね。

だって、日本中、どこにでもあるものは、田舎にもちゃんとあるわけで、
どこにでもある分、楽しさもほどほどで、たいして刺激的ではないけれど、
いちおうは満ち足りているから、わざわざ都会に出なくても、とその程度の話。

でも、これを都会の側から見ると、どうでしょうか。

田舎に出かけても、駅前にあるのはイオンの大きなショッピングモールだったり、
せっかく田舎に来たのに、どこにでもあるものがここにもあるだけ。
これって、実はけっこう、観光の根幹を揺るがすことだと思うのです。
だって、どこにでもあるものをわざわざ観光に行くことはないわけで。

私は、どういうご縁か、街づくりに意見を述べさせていただく機会があります。

そこで気づいたのですが、田舎というか、少なくとも富山の場合、
付加価値を加えて素材の価値を高めることが苦手なようです。

付加価値とは、人を動かす力です。

誰だって、家でゴロゴロしていたほうが楽でしょうけど、
よっしゃ出かけるかと人を動かすのは、行った先にある付加価値の部分です。
家で、ネットで手配できるようなことであれば、人は外出などしません。

たとえば、富山は食材としての海産物が豊富な土地柄です。
それを素材のまま手に入れることは、そう難しくはありません。
ネットで手配できるので、家でゴロゴロしながら、「ポチッとな」でおしまいです。
そのままゴロゴロしていたら届くので、付加価値は高くありません。

そうではなくて、富山に行かないと食べられないような調理法があったとしたら。
それは、家でゴロゴロしていても手に入りませんから、
「はぁ、しょうがないな」と出かける理由になるわけです。
それが付加価値であって、実際に人が動くことによる経済効果になるわけです。

基本はそういう感じなので、私は機会があるたびにそういう助言をしています。

しかし、富山の人は、素材そのままに醤油つけて食べるような食べ方こそ、
いちばんおいしい食べ方だと考えている方が多いようで、
調理法などで付加価値を加えるということに、なかなか意識が行かないようです。

まぁ、確かに刺身は美味しいですから、気持ちはわかるのです。
しかし、ライバルは全国にいるわけで、素材勝負では限界が出てきます。
逆に、素材がよいなら、センスを磨けばより美味しくなるはずで、
それだけ付加価値は高まるはずなのですが。
素材の鮮度にあぐらをかいていると、
洗練された調理法という、付加価値にあたる部分の開発が異様に遅くなって、
いまだに、足を運ばなければ食べられないという差別化ができずにいるわけです。

実際に、食べログなどを見ていると、県外からのお客さんからの富山の料理の評価は、
「富山の料理はネタが新鮮なのをいいことに、あまり技とか仕事がされておらず、
てまひまを感じられません。」と書かれることが多いようです。
これは、富山でかなり格調の高いとされている料亭に対してでも、
そう書かれてしまっています。
それをひとことで表現すれば、おもてなしの心の不足でしょうね。
鮮度の高い刺身だからこそ、
細かい工夫を加えればもっと美味しくなるのに、と思われているということです。

冒頭に挙げたファスト風土のように、
いまは、全国どこに行っても、わりと一緒です。
何が出るかはともかく、どこにでも美味しいお刺身というのは、あります。

そうであるなら、「富山に行って、アレ食べたい!」と思わせる必要があるわけで、
それはほかの都道府県と競争することになります。

付加価値、一般の企業でも大事な考え方で、
それは、行政についても同じだと思うのですがねぇ。
特に、ここ富山は北陸新幹線が開業して3箇月、わりと切迫しています。

[SE;KICHI]
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