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“かたはらいたきもの”

枕草子、第92段、「そばにいていたたまれないもの」くらいの意味です。
上手ではない楽器を披露することとか、
酒に酔って同じ話を繰り返し話すこととか、
自分の子供のエピソードを自慢げに話すこととか、
本文では“かたはらいたきもの”が列挙されています。

そのなかに、たいした知識もないのに、
知識がある人の前で訳知り顔で語るというのがあります。(意訳ですが)

なるほど。
それは確かに“かたはらいたきもの”かも。

さて。
今週末、私の上司が、生まれて初めて、歌舞伎の観劇に行くのだそうです。
以前に盟三五大切について書きましたように、私は歌舞伎が好きなので、
上司の歌舞伎デビューは、なんだか私も自分のことのように嬉しいです。

演目は、まず『一谷嫩軍記』の陣門の段と組打の段だそうです。
正直、デビュー戦から源平モノというのはなかなかのハードルの高さで、
特に陣門の段はついていくのが大変だと思うので、
上司が一瞬でイヤにならなければいいと、心から心配しています。

でも、敦盛ですからね。
織田信長の「〽 人間五十年……」の一節があまりにも有名ですが、
その幸若舞にもなっている、あの敦盛です。

私は、熊谷直実の気分で見ていますので、
自分の息子そっくりの若き敵将・敦盛を助けようとしたのに、
なにぶん戦場ゆえ、叶わなかったことなど、
いちいち切なくなります。
今回、切ない親心を見せる熊谷直実役は吉右衛門。
この熊谷直実役は、当代吉右衛門の実父・八代目幸四郎の当たり役でもあり、
当代吉右衛門が伝承している、
団十郎型と呼ばれる一谷嫩軍記には抜群の安定感があります。
まぁ、当代吉右衛門は、なんてったって人間国宝。
安心して観てられるってもんです。

吉右衛門 一谷嫩軍記 http://www.moon-light.ne.jp/news/2011/07/kumagaijinya.html

次の演目は『神田祭』
これは清元でしょうか。
舞踊だと思うので、特にあらすじなどないと思いますが、
鳶頭役が菊五郎で、こういう配役にはうってつけの俳優です。
……おっ、そういえば菊五郎も人間国宝でしたね。
現在存命の歌舞伎俳優で人間国宝保持者は5人くらいしかいなかったはずなので、
デビュー戦でいきなり2人も人間国宝を観られるなんて、
ツイてますね~、私の上司。

それよりも、前に書いた盟三五大切の記事でも触れましたが、
今回、芸者を演じる時蔵を、私はたいそう気に入っており、
楽しみです。(私が観るわけではありませんが)

最後は、『水天宮利生深川』という演目だそうで、
私は、この演目名を聞いてもピンとこなかったのですが、
有名な、『筆屋幸兵衛』略して「筆幸」と呼んでいる演目のことだそうです。
なんだ、それなら私でも知っています。

貧しい筆屋の幸兵衛、
気が狂って娘と一緒に川に身を投げて心中を図る話です。
最終的にハッピーエンドなので、見ていて安心ではあるのですが、
前半の幸兵衛一家に降りかかる不幸とか、ちょっと見るのが辛いです。

見所は、もちろん、追い詰められた幸兵衛の気が狂っていく描写。
私の人生も、まぁ、なかなか辛かった時期もあったので、
ちょっと自暴自棄になる気持ちは分かるのですが、
この幸兵衛はどん底で「船弁慶」を歌うという狂いっぷりで、
なんというか、鬼気迫る感じです。
筆幸といえば何年か前に亡くなった勘三郎の持ち役というイメージがあり、
かつて私が観たのも勘三郎の幸兵衛なんですが、
今回の筆幸は幸四郎が演じるとのこと、
どんな感じになるのか、ワクワクしますね。(私が観るわけではありませんが)

ちょっと、つい興奮して書き連ねてしまいましたが、
自分が好きなものを他人が体験してどう思ってくれるのか
上司の反応がすごく興味深くて、もう、ドキドキしています。
まぁ、体験記は来月の初旬にでもブログに投稿されると思うので、お楽しみに。

……え?
冒頭の“かたはらいたきもの”はどうなったのかって?

そうそう。
この上司の「歌舞伎デビューする」という話を聞いた部下のひとりが、
開口一番「お、海老蔵ですか?」と言ったんですよ。
演目とかを尋ねる前に、「歌舞伎」と聞いて「海老蔵」。
私は、どうもそれが許せなくて。

いや、海老蔵もいい役者だとは思いますよ。
でも、今後、成田屋を継いで大名跡に育っていく、若い役者ですよね。
吉右衛門も菊五郎も幸四郎もいるなかで、
歌舞伎といえば海老蔵というのはちょっと乱暴
ではないですかねぇ。

たいした知識もないのに、
知識がある人の前で訳知り顔で語る、
“かたはらいたきもの”とはこのことかと。

[SE;KICHI]
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うらやましいです。

いいですね。
ワタシも、歌舞伎って興味あるんですけど、田舎に住んでると見に行く機会がなくて、まだ見たことないんです。
だから、歌舞伎がどんなものなのか、未知の世界です。
初歌舞伎の感想、楽しみにしてますね。
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