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家庭における實際的看護の秘訣

私が多読であるということは、これまでにもご紹介したとおりです。

今日は私の蔵書のなかから、変わった本をご紹介しましょう。
『家庭に於ける實際的看護の秘訣』

大正14年に刊行された家庭医学書で、
その真っ赤な装丁から、後年の“赤本”の元祖となった本です。
著者は元海軍衛生大尉の築田多吉さんという方で、個人出版であるにも関わらず、
健康に関する“虎の巻”として1000版以上の版を重ね、大ロングセラーになった本です。

軍関連の出版なので、当時の文部省のお墨付きを示す連署のページもあります。
私が持っているのは現代語版の増補新訂版というやつですが。

それは、今で言う「家庭の医学」みたなものですが、
それとは決定的に違っていることがあります。
それは、著者が効果を確認した民間療法を掲載しているという点。

今の「家庭の医学」は、医学的なエビデンスがないと書いてはいけないのでしょう、
どれもだいたい同じような内容になっており、読んでも、正直、つまらないもの。
そればかりか、どの症例の項目を読んでも、
最終的には「専門医の診察を受けよう」などと書かれていて、
せっかく調べたのに、結局、「医者に行け」以上の情報がないという、
素人にはあまり役立たない事典になっています。

一方で、この『家庭における實際的看護の秘訣』は、
どのページも興味深い記載でいっぱいです。

例えば、最近、目が疲れているなぁと感じているワタシですが、
この本には「ヤツメウナギを食べなさい」と書かれています。
ヤツメウナギ・・・ねぇ、そういえば浅草の老舗に売ってますね。
あと、ワタシは腰痛にも悩まされているのですが、
「ハブ草の種4匁と桑の木5匁を4合の水で煎じて飲め」と。
すると、「どんなしつこい腰痛でもたいてい治る」と書かれています。
桑の木・・・、もはやどこで売っているのやら。
それに、匁(もんめ)って、どうやって計ればいいのか。

そう、この『家庭における實際的看護の秘訣』は、
「専門医の診察を受けよ」などという不親切なことは言わないのです。

今の時代にヤツメウナギとか桑の木とか言われても困るのは確かですが、
当時としては入手困難なものではなかったのでしょう。
つまり、症状に悩んで本を開いた人が、身近なもので即時に対処できるよう、
誰にでも親切に書かれている本なのです。

例えば、何年か前まで、私の上司は痔に苦しんでおり、
一念発起して手術したところ、現在は完治しているようですが、
この本によれば「梅肉エキスに塩を少し混ぜ、毎日患部に貼り付けよ」
と書かれています。
もしかすると、梅肉を貼れば、手術するまでもなかったかもしれません。

また、例えば、同僚が耳だれに悩んでいる時期もありましたが、
この本では「鉄冷鉱泉か卵油を数滴耳に入れ、横になっておけ」
だそうです。
お、溺れそうです。

終始こんな感じ。

ほかにも、虚弱児の体質改善には亀の子タワシでこすれとか、
イボ取りには黒ゴマと蛇の抜け殻を混ぜて飲めとか、
まるで魔女のようなおどろおどろしい健康法も含まれていて、
私自身は一抹の不安を感じなくもないのですが、
現代でも、この本に書かれている健康法を自分の指針としている方もいるようです。

もっとも、私にとっては医学書というより民俗資料のようで、
内容にもなかなか愛嬌があるような気がして、読んでいて実に楽しいのです。
もちろん、役に立てようなどということではなく、ただ眺めているだけなのですが。
それでも、近年の、西洋医学一辺倒、医者任せみたいな風潮がないので、
あくまでも自分の努力で病気を治そうとする姿勢に好感が持てます。

ところで、本の最初のほうは「第4章 消化器病の看護法」など、
わりと素直に、病気に対する民間療法が紹介されていますが、
後半になってくると、
例えば「第15章 処女の教育」などという奇抜な章立てに突入し、
なんとこの章には、理想の配偶者の選び方のようなことまで説かれています。
大真面目な本ですが、果たしてそれは医学なのかという感じもあります。

最終的に、長寿健康法については、
人間は労働して盛んに屁をこくべしなどと書かれています。
まぁ、表現は下賎ですが、意外と鋭いところを突いていると思うのですが。

詳しくは忘れましたが、確か、この本は数千円はしますので、
こんな本を愛読書にする人はちょっと変人かもしれません。
ただ、ちょっと身体に変調を感じたとき、現代みたいに安易に医者にかかるのではなく、
昔の人はこうやって乗り切ったということが分かっていれば、
治す参考になるかもしれません。

ちょっとでも興味ある人がこの本を手にしたら、はまること間違いなしです。

[SE;KICHI]
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