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足腰がなまっているのではないか

昨年の11月に誰かの言動で左右されることなく、
自分で選び、価値を確かめることの大切さ

について書きました。

その記事では、
自分の目で良いものを吟味して探し出すという喜びを、
自ら放棄している人がたくさんいる
と書いたのですが、
最近、つとにそう思います。

今年に入って、佐村河内さんという方の、
自作として発表した曲のほとんどが、他人の作品であったという問題が露見し、
大きな騒ぎになりました。

ただ、この騒ぎの本質はなんだったのでしょうか。
市井の人々のインタビューの様子などを見ていると、
耳が聞こえないふりをしていたのはけしからんとか、
交響曲にわざわざHIROSHIMAなどという副題をつけてあざといとか、
基本的に「うきぃ、騙されたぁ」って感じの論調が目につきます。

さもありなん、なのですが、でも、違和感があります。

あなたが今まで感じていた感動はなんだったのでしょうか。
純粋に、曲が素敵だったから聞いていたのではなかったのでしょうか。
心に響く曲だったから好んで聞いていたのではなかったのでしょうか。

音楽の良し悪しというのは本来、作品自体の価値で判断されるべきで、
ゴーストライターが作った曲だと知ったからといって、
全聾だという作曲家の訴えが虚偽だったといって、
作品自体の価値は下がらないはずです。

それなのに落胆する人がこんなに多かったということは、
作品の善し悪しなんか関係なくて、
「現代のベートーベン」などという、
音楽性以外の部分に目が向けられていたということでしょう。

平たく言えば、全聾の人が作ったのなら素晴らしいが、
そうでない人が作ったのであれば素晴らしくない、ということ。
全聾の人の作品だと思っていたら、本当は普通の人が作曲していた、
なんだ、嘘だったのか、台無しだ、と言うのであれば、
それは、全聾の作曲家が作った曲なら優れた作品だ、と勘違いしていたわけで、
つまり、作品の価値自体が、所詮その程度であると。

今回、騙されたと感じた人々はみんなで佐村河内さんを非難していますが、
その“虚偽”が曲の価値のすべてを台無しにしているのだとしたら、
私たちは、もともと曲そのものなんて、
ひとつも聞いちゃいなかったということですよね。

いや、まぁ、嘘つきはいけないことだし、
その点で佐村河内さんは責められて当然だと思うのですが、
私たちの、曲の善し悪しなんてどうでもよくて、
「現代のベートーベン」などという音楽性以外の部分に動かされるという、
安易な感動を求めるマインドにも問題はあるんだろうなと思うのです。

別に音楽に限った話ではないけれど、
私たちは、自分の感性でモノの善し悪しを判断する能力が、
衰えてきているのではないでしょうか。

自分の感性が鈍化しているので、わかりやすい感動に飛びついてしまう。
ちょっと、感性の部分で足腰が弱ってきているのではないでしょうか。

同じような話はたくさんあって、
昨年末には食材の産地が偽装されて提供されていたことが問題になりましたが、
それだって、みんなして「騙された!」と怒っていましたが、
そのことが料理の価値を台無しにするというのであれば、
書いてある産地名などにのみ価値があり、
実際の料理の味なんて、なんにも関係がないということになります。

今年はソチオリンピックもありましたが、その期間中、
「天国のおばあちゃんに届け」とか、「病床の母に捧げる」とか、
選手の背景を記事にしたものも多く目にしました。
それだって、感動したがりの私たちの感動を補強する材料ではありますが、
晴れの舞台での競技の技術などとは関係のないことであり、
目の前の競技のクオリティなんて眼中にないということでもあります。

そういうサイドストーリーに関心が向くということは、
要するに、自分の五感で良いものを吟味していないということです。

感動をありがとうなどというバカなフレーズがありますが、
感動を、他人から貰うものだなんて思っているから、
裏切られた時に台無しになってしまうんです。

感動は、結局のところ、自分の心の動きです。
素晴らしい音楽や味覚や観戦を通じ、自分の心として感動するものです。
全聾の人が作った曲らしいからとか、無農薬野菜で作った料理らしいからとか、
天国のおばあちゃんを思って戦ったらしいからとか、
そういう説明がついたから感動しているのではないはずです。
背景に惑わされず、
本質を吟味できるように、なりたいものです。


[SE;KICHI]
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