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審美眼を養うために

8月に三題噺みたいなものを書きましたが、
そこで、鉄道好きにいろいろあるように、
仏像好きにもいろいろあるのだと書いたところ、
ちょっと反響がありました。

確かに、仏像好きもいろいろです。
製作年代や製作者など、こだわるポイントは人それぞれです。
御朱印や建築など、周辺領域も含めれば千差万別と言ってもいいでしょう。
普段は拝観できない秘仏に萌える“御開帳マニア”というのもいます。

私は、仏像を美術品としてだけ見ているわけではないので、
御開帳にそれほど熱心に出掛けるタイプではありません。
私は、気に入った仏像とはじっくり対話したいほうなので、
もともと、御開帳など、あんまり混雑している寺には行きたくないのです。

それは、美味しいと評判の店でも、
混んでいてゆっくり味わえないなら行かないというのと似ています。

私は、雰囲気の気に入ったお寺であれば、1~2時間は長居をします。

25年も前、お寺を巡り始めた頃は、できるだけたくさん数を稼がなきゃと、
タイムトライアルよろしく、食事の時間すら削って見て回ったものですが、
そういう見方をしていると、せっかく目にしたものも記憶には残らなくなります。

最近では、腰を落ち着けて仏像と語り合うのが至福の時間です。

仏像と対話などというと気味悪く感じるかもしれませんが、
要は、仏像でも庭園でも、建物でも障壁画などでも、なんでもいいけれど、
数時間、ボケーっとそれを眺めて過ごすということです。
今日のこの後の予定とか、今後の人生などについて、具体的な思考を止め、
数時間、ひたすら呆けたように座っているのです。
これは、いわゆる止観瞑想というやつです。
流行りの言葉で言えば「考えない練習」。

それは、釣りに似て、それ自体は非生産的な時間ですが、
思考を止める幸福がそこにあるのです。
何も考えずにただ座っていること。
自分が泥のように溶け、無になっていく感じ。
それだけで癒されますし、取り越し苦労で首が回らなくなっている現代、
とっても大切なことであると私は思います。

だから私は、仏像は、滅多に見られない秘仏ではなく、
いつ行ってもお会いできる、対話が可能な仏像のほうが好きなのです。
そして、だらだらと何時間いても邪険にされることのない、
止観瞑想ができるような静かなお寺が好みです。

それは別の言葉で言えば、観光地化されていないお寺のほうが好きということ。

京都でも鎌倉でも、古都と呼ばれるような地域では、
桜や紅葉の時期を避け、場所さえ選べば静かに過ごせるものですが、
みんな、わざわざ混む時期に、混む場所に行きたがるものです。

偉そうな言い方ですが、バカだなぁと思います。
確かにザァーっと観光地を巡っても仏像は眺めることができるかもしれませんが、
逆に、それを見てどう思ったかという、自分の心を見つめることができません。
バカだなぁという表現に語弊があれば、もったいないなぁでも同じ意味です。
ザワザワした環境のなかで、心を静めずに10分程度だけ見るなんて、
せっかく仏さまの前に行ったのに、もったいないなぁ。

いつだったか、地味な、普段はほとんど誰も来ないようなお寺に行ったとき、
先客が一人、中学生くらいのお嬢さんがいたことがあります。
彼女はすでに、じぃっと仏像を見つめていました。まさしく“対話”です。
私は、心から感心しました。
このお嬢さんは、
誰かの言動で左右されることなく、
自分で選び、価値を確かめることの大切さ

を知っている感じです。
きっと、将来、素敵な感性を持つ女性になるに違いないと思ったものです。

人がたくさんいるところでないと不安なのか、
みんなが行くところには自分も行かないと気が済まないのか、
TVで紹介されていたから行ってみなくてはと思うのか。
最近は、群集心理というか、
自分の目で良いものを吟味して探し出すという喜びを、
自ら放棄している人がたくさんいるように思います。

バカだなぁと思います。

[SE;KICHI]
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