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シュールなルーツ

以前、自然物よりも、人間が作ったものが好きと書きました。

そのルーツは、意外かもしれませんが、廃村なんです。

昔、長野県の八坂村というところに住んでいたことがありました。
現在は合併でなくなってしまいましたが、人口1000人ほどの小さな過疎の村でした。

その八坂村の村起こしの話です。
最近だとインターネットが普及しているので村の宣伝も簡単にできますが、
当時はそんなツールはなかったので、
村の宣伝はパンフレットなどの印刷物に頼るしかありませんでした。

あるとき、村のパンフレットを作るために、
村中の道祖神の写真を撮って回ったことがあります。

道祖神、分かりますでしょうか。

集落の入口や三叉路などに安置されている守り神の石像のことで、
八坂村のあった信州安曇野と言えば、
双体道祖神と呼ばれる、男女を一対に彫った形の道祖神で有名です。

130924-道祖神 http://azumino.kokoton.net/doso/yasaka2/

それを、村内一円、写真を撮ったり、造立年を調べたりして、調査して回りました。

調査と簡単に言いましたが、市街地のお地蔵さんを見て回るのとは訳が違います。
そもそも過疎の村ですから集落にも人は少なく、
また、集落と集落との間が離れているため、
道祖神を探して回るだけでも大変です。

なかには、営農の効率などの都合で打ち捨てられてしまった集落もあります。
そういう、もはや土に帰ろうとしている集落は、
そこに向かう道もなくなっていることが多く、また、地図からも消えています。

130924-廃村
http://blog.livedoor.jp/urayamaex/archives/3017953.html

廃村とは不思議なものです。
崖をよじ登り、藪を掻き分け、天狗に騙されているのではないかと思うほど歩いて、
ようやくたどり着いた廃村は、
かつては村人で賑わっていたであろう生活感はすでになく、時間が止まっている感じ。
数軒の崩れかけた廃墟と、同じく崩れかけた神社などが放置されています。
そして道祖神。

かつて人が暮らしていた頃、
道祖神は住人を厄災から守ることを期待され、大切に祀られていました。
住んでいた人は新天地に移転したのでしょうが、祀られていた道祖神はそのまま。

それは、本当にシュールな光景。

かつては村が栄え、それを見守ってきた道祖神ですが、
現在は守るべき対象を失い、朽ち果てた廃墟を眺めています。
果たして、どういう気持ちでしょうか。
今日はたまたま私が訪れたけれど、明日からは、また誰にも会わずに一日が暮れていく。

仏像って、物体としては、所詮は石や木や鋳物に過ぎないんだけれども、
それを神仏に見立てて奉ろうとする人間の畏怖の念があって初めて、
仏像という信仰の対象として成立するのだと思います。

だとすれば、放置され、人々からの畏怖の念を受けなくなったとき、
つまり信仰の対象ではなくなった仏像は、
誰の目にも触れず、石や木や鋳物に戻っていくしかないのです。


廃村の石像も、勝手に湧いて出たものではなく、
かつての住人の想いを受け、人間の手によって作られたものです。
それが今、誰にも気に掛けられず、少しずつ朽ちていこうとしている。
どういう気持ちなのでしょうか。

私が仏像好きになる発端はこの道祖神ですし、
仏像を見るときの擬人化というか、仏像の気持ちになるというスタイルも、
このシュールな廃村体験に端を発しますが、
そのベースには「人工物が好き」というのが明確にあります。

ただの石や木や鋳物に、命を吹き込むのも、命を奪うのも人間。
私は、そこにある想いを感じるのが好きなのです。

[SE;KICHI]
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