好事家の卵
好事家【こうずか】という単語を辞書で引くと、
「変わった物事に興味を抱く人。物好きな人。また、風流を好む人」と書いてあります。
人間、変わった物事に興味を抱くのは当然だろうというか、
誰でもそうだろうと、私は長年思ってきたのですが、
同僚に、先入観やネガティブな情報に敏感で、
未知の領域への参入が極端に苦手という人がいるので、
あながち、全員が好奇心旺盛とは限らないのだと、最近知りました。
先日、立て続けに好事家の卵のような子供を3人見ました。
駅の待合室のテレビを見ていた6歳ほどの女の子とその母親。
テレビでは歌舞伎座の特集が放送されていて、
当代の市川猿之助がインタビューに答えていました。
字幕に「澤瀉屋」という単語が出てくるのですが、
母親はこれが読めなかったみたいで
「さわ…さわがた……や?」などと言っています。
これは、歌舞伎を知っている人なら誰でも読めるのですが、
歌舞伎に関心のない人はほぼ読めません。
まぁ、母親は歌舞伎に関心のない人なのでしょう。
ところが6歳ほどの娘が、その母親に向かって、
「違うよ。“おもだかや”だよ。」と言うのです。
正解です。
これは成田屋(市川団十郎)とか播磨屋(中村吉右衛門)みたいなもので、
市川猿之助一家の屋号です。
私は近くで聞きながら「おおおっ!」と感心したものです。
それから、和菓子屋で出会った8歳くらいの男の子とその父親。
その和菓子屋は「文久3年創業」などと書いてある、
まぁ、いわゆる老舗の和菓子屋なのですが、
その親子連れは初めての来店なのでしょうか、
父親のほうが、その「文久3年」にしきりに感心しています。
そのうち、父親は店のバイトの、若い女の子に聞き始めました。
「文久3年ということは江戸時代ですか。
ということは、もう300年ほどの歴史があるんですね!」と。
詳しくはないであろうバイトの子が困った顔を見せ始めた頃、
その男の子が父親に向かって言ったのです。
「違うよ。文久3年って、まだ150年だよ。」と。
正解です。
文化財愛好家でも完璧に頭に入ってはいない部分ですが、
文久3年というのは1863年なので、150年前です。
私はまたも、近くで聞きながら「おおおっ!」と感動。
最後は洋食屋さんで出会った家族連れ。
その洋食屋さんは、いわゆる街の洋食屋さんといった風情の店で、
「本日のピザ」という、運ばれてくるまで何が出るかお楽しみの、
日替わりのピザが、メニューとして設定されています。
この日の「本日のピザ」は、
ニンニクとオリーブ油とトマトソースのピザのようでした。
その家族連れの席にピザが運ばれてくるのを見ていると、
父親が「おっ、マルゲリータ、来たよ~」とか言って店員から大皿を受け取っています。
その後、テーブル中央に置かれたピザの皿を眺めた5歳ほどの娘が、
「違うよ。これはマリナーラだよ。」と言うのです。
正解です。
この父親は、「ピザと言えばマルゲ」と刷り込まれているのでしょうか。
バジルやモッツァレラを使っていなくて、ニンニクを使っているなら、
それはマルゲリータではなく、マリナーラです。
私はまたもや、近くで聞きながら「おおおっ!」と感動。
好事家というのは結局、
変なことを知っているヤツということでしょう。
これらの子供たちはすでに変わった知識を持っているようなので、
すでに“好事家の卵”と言ってよいでしょう。
子供らしくないと言われれば、それはその通りなのだと思いますし、
子供としての「かわいげ」には欠けるだろうとは思いますが、
私は、
はっきりと関心領域を持っていることは非常に良いと思っているので、
“好事家の卵”、好きですね。
そういう私も、いちいち正解です。とか言っているわけで、
もしかしたら好事家なのかもしれませんが・・・どうでしょうか。
[SE;KICHI]
「変わった物事に興味を抱く人。物好きな人。また、風流を好む人」と書いてあります。
人間、変わった物事に興味を抱くのは当然だろうというか、
誰でもそうだろうと、私は長年思ってきたのですが、
同僚に、先入観やネガティブな情報に敏感で、
未知の領域への参入が極端に苦手という人がいるので、
あながち、全員が好奇心旺盛とは限らないのだと、最近知りました。
先日、立て続けに好事家の卵のような子供を3人見ました。
駅の待合室のテレビを見ていた6歳ほどの女の子とその母親。
テレビでは歌舞伎座の特集が放送されていて、
当代の市川猿之助がインタビューに答えていました。
字幕に「澤瀉屋」という単語が出てくるのですが、
母親はこれが読めなかったみたいで
「さわ…さわがた……や?」などと言っています。
これは、歌舞伎を知っている人なら誰でも読めるのですが、
歌舞伎に関心のない人はほぼ読めません。
まぁ、母親は歌舞伎に関心のない人なのでしょう。
ところが6歳ほどの娘が、その母親に向かって、
「違うよ。“おもだかや”だよ。」と言うのです。
正解です。
これは成田屋(市川団十郎)とか播磨屋(中村吉右衛門)みたいなもので、
市川猿之助一家の屋号です。
私は近くで聞きながら「おおおっ!」と感心したものです。
それから、和菓子屋で出会った8歳くらいの男の子とその父親。
その和菓子屋は「文久3年創業」などと書いてある、
まぁ、いわゆる老舗の和菓子屋なのですが、
その親子連れは初めての来店なのでしょうか、
父親のほうが、その「文久3年」にしきりに感心しています。
そのうち、父親は店のバイトの、若い女の子に聞き始めました。
「文久3年ということは江戸時代ですか。
ということは、もう300年ほどの歴史があるんですね!」と。
詳しくはないであろうバイトの子が困った顔を見せ始めた頃、
その男の子が父親に向かって言ったのです。
「違うよ。文久3年って、まだ150年だよ。」と。
正解です。
文化財愛好家でも完璧に頭に入ってはいない部分ですが、
文久3年というのは1863年なので、150年前です。
私はまたも、近くで聞きながら「おおおっ!」と感動。
最後は洋食屋さんで出会った家族連れ。
その洋食屋さんは、いわゆる街の洋食屋さんといった風情の店で、
「本日のピザ」という、運ばれてくるまで何が出るかお楽しみの、
日替わりのピザが、メニューとして設定されています。
この日の「本日のピザ」は、
ニンニクとオリーブ油とトマトソースのピザのようでした。
その家族連れの席にピザが運ばれてくるのを見ていると、
父親が「おっ、マルゲリータ、来たよ~」とか言って店員から大皿を受け取っています。
その後、テーブル中央に置かれたピザの皿を眺めた5歳ほどの娘が、
「違うよ。これはマリナーラだよ。」と言うのです。
正解です。
この父親は、「ピザと言えばマルゲ」と刷り込まれているのでしょうか。
バジルやモッツァレラを使っていなくて、ニンニクを使っているなら、
それはマルゲリータではなく、マリナーラです。
私はまたもや、近くで聞きながら「おおおっ!」と感動。
好事家というのは結局、
変なことを知っているヤツということでしょう。
これらの子供たちはすでに変わった知識を持っているようなので、
すでに“好事家の卵”と言ってよいでしょう。
子供らしくないと言われれば、それはその通りなのだと思いますし、
子供としての「かわいげ」には欠けるだろうとは思いますが、
私は、
はっきりと関心領域を持っていることは非常に良いと思っているので、
“好事家の卵”、好きですね。
そういう私も、いちいち正解です。とか言っているわけで、
もしかしたら好事家なのかもしれませんが・・・どうでしょうか。
[SE;KICHI]
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