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山月記のトラ

教科書で思い出しましたが。

山月記というの、覚えていらっしゃいますでしょうか。
調べましたところ、
かれこれ70年前から高校の「現代文B」の教科書に収録され、
現在では採択率が100%だそうです。
「現代文B」というと、大学受験を意識したカリキュラムには必須の科目ですから、
つまり、現在存命で、大学受験をした経験のある大半の方にとって、
一度は読んだことのある物語ということになります。

私は、高校には進学どころか受験すらしませんでしたので、
学生時代に山月記を教科書で学んだ記憶はなく、知ったのは大人になってからだったのですが、
いま思うと、実に惜しいことをしたと思っています。
というのも、山月記は、自意識過剰な青少年期にこそ読むべき物語だと思うからです。

必要ないかもしれませんが、少し説明します。

 主人公の李徴は、若くして高い位に就いたエリート官僚ですが、
 もともと人づき合いが苦手で、職場の人間関係に苦しみ、退職し、
 今で言うフリーランスになるわけです。
 しかし、そううまくいくはずもなく、自分の才能に絶望し、
 再び職場へ再就職することになったものの、
 当然、彼が離職していた間に、かつての同僚たちはみんな出世しているわけで、
 かつて、自分がバカにしていた連中が自分の上司になっており、
 プライドの高い彼はそれが許せず、一年後に発狂するのでした。
 そして、さらに一年後の、ある日の明け方、
 かつて李徴と、職場での同期であり友人だった袁傪が林の中を通っているとき、
 一匹のトラと出会います。
 このトラが李徴の成れの果てで、李徴と袁傪の対話が始まります。


トラ(になった李徴)は言います。
気づいたらこうなっていた、と。
つまり、自分は悪くないのだ、と。
しかし、袁傪と話すうち、李徴は何かを悟ったか、
プライドが高すぎて、他者に傷つけられることを恐れた「臆病な自尊心」があったことや、
恥をかかないように横柄にふるまった「尊大な羞恥心」があったことに気づき、
トラになったのは自らの生き方の帰結であると言い出します。

最後は、心までトラになって、襲ってしまうといけないから、
もうここへは来ないよう袁傪に言い、
李徴であるトラは林に去っていくのでした。

翻って、どうでしょうか。

自分も含め、私たちは自尊心や自己顕示欲を増長させ、
トラになる一歩手前まで来てはいないでしょうか。

自分のプライドによってトラになってしまうというのに、
アイツが悪いとか、アレさえなかったらとか、
自分以外のもののせいにしていないでしょうか。


一倉定によれば、「ポストが赤いのも自分のせいだと心得よ」と言います。
いま、目の前に起きたことはすべて自分のせいだと思えるか。
実に厳しい視点です。

[SE;KICHI]
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