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感謝と報恩の敗北

3月や4月というのは、悲喜こもごも、いろいろあるようです。

知人がお子さんを通わせているこども園では3月に卒園式があったそうです。
その認定こども園は、もともとはお寺が経営している幼稚園で、
しばしば、御住職である園長先生の法話があり、
特に、「報恩感謝の心」について説かれることが多かったそうで、
そういうのに魅力を感じて選んでいる方も多かった園だそうです。

ところが、5年ほど前、全国の幼稚園や保育園が一斉に認定こども園に移行した時期、
制度上、この幼稚園も、そのまま幼稚園として存続することは難しく、
やむをえず認定こども園になったわけです。
その結果、保育園的なニーズを持った保護者も大きく増え、
もともと幼稚園だった園としては戸惑うことも多いとのこと。

保育園的な保護者って、要するに両親が働いている間に預かっていて欲しいだけなので、
運動会やお遊戯会のような行事ごとは不要というか、
むしろ親が動員されるくらいなら開催しないで欲しいわけです。
一方で、幼稚園的な教育を期待している保護者にしてみれば、
毎日の読み書きや運動の指導なども大切だし、
その披露の場として、運動会もお遊戯会も楽しみにしているわけです。
つまり、ぜんぜんニーズに合わないのです。

さて、そんな認定こども園でしたが、3月は卒園の時期。
ここの園では、幼稚園だった頃から、伝統的に、
3月の土曜に卒園児の保護者が集まって、
園舎の掃除をさせていただくことになっていたようです。
その理由は「報恩感謝の心」が大切だから。
毎日お世話になった園舎を磨いて、感謝を捧げましょうということで、
正直、親としては面倒だなと思う気持ちもあるかもしれませんが、
企画意図というか、趣旨は明確ですよね。

ここに保育園系のトンデモさんが出現したのだそうです。
曰く、
「月謝を払っているのに、なぜ掃除しなくてはいけないのか」
と。
つまり、払ってる月謝で園がスイーパーとか雇ってくださいという論です。

この発言に対する反論は可能です。
私も意見はあるし、実際に通わせている知人も言いたいことはあったようですが、
そんなことより、園長先生が意気消沈してしまったそうです。
日々続けてきた「報恩感謝の心」の法話が、親にまで届いていなかった無力感。
この意見の親に育てられた子どもには、自分の法話など届かないのだろうという徒労感。
そして、何より、このような意見は2件3件でなく、かなりの件数が寄せられたことで、
あぁ、報恩感謝は死んだのだな
こんなことなら認定こども園にならなければよかった、
それだと幼稚園として存続はできなかっただろうけど、
それなら幼稚園を畳めばよかった、と、悲観して、
なんと、伝統の清掃は廃止になったのでした。

その話を聞いて、私は悲しいと思いました。
月謝を納めているんだから…というのは Give and Take の考え方です。
しかし、私は、所謂 Give and Take は誤りだと思っています。
私たちは、別に何もしなくても社会に生かされているのだから、
まず、最初の一歩は『報恩』であるべきだと思うのです。
つまり、月謝云々はその後の話であって、
まずは、社会に受け入れてもらえていることに対して、
恩を返すことが大事だろうと思うのです。

この話には伏線があって、
この園では卒園式後、謝恩会などといって、
飲食を伴う軽いパーティーのようなイベントを行っていたそうです。
謝恩会というネーミングですから、お世話になった先生方を労うもので、
意味合いとしては前述の清掃と同じ趣旨のものです。
費用は、卒園積立金などの名目で、便宜上、園が徴収していたそうで、
総額から卒園アルバム代を園が使い、
余剰分が謝恩会費用として保護者に払い出される形です。
まぁ、本来は謝恩会費を園が徴収するのは変ですが、
親が自治的には集金できるわけないですからね。

しかし、このコロナ禍、飲食を伴うパーティーなんてできません。
徴収額は過剰になるはずです。
この園長先生はそんなに強欲な人物でもないようですが、
余剰金は園に寄付していただけたら園児のために使えるし、
ありがたいなと思ったようです。
よく、緞帳とか平均台とかに「寄贈 ○年度卒業生一同」とか書かれていますが、
ああいうイメージです。
そして、保護者代表とそのように話をつけたようです。

私は、悪くない話だなと思いました。
謝恩を名目に徴収したお金ですから、
園に渡して、園児のために使われるのなら趣旨に反しないし、
私は、ぜんぜん問題ないと思いました。

しかし、現れたんだそうです、トンデモさんが。
「謝恩会やらないんだったら返金してください」と。
いや、余剰分を人数で割ると、一人あたり2,000円くらいだったそうで、
返金の事務や、ハンコもらったり、監査を頼んだりする労力を考えると、
少し難しいのではないか…と答えると、
「難しくてもやれるんだったらやってください」と。
保護者代表も、
「来年度以降の在園児に喜んでもらえるようなものを寄贈したら」と、
とりなそうとするのですが、
「アンタんちは来年度以降も下の子がいるからいいかもしれないけど、
ウチは今年で終わりだから、
何か寄贈してもウチの子は使わないんだから、
払いたくないんだよ!
」と言われたと。
ここで保護者代表、爆死です。
「勝手に園長と密談して寄付を決めてんじゃねーよ」とか言われて、
精神を病む事態になったそうです。

もうこの辺にしておきますが、
園長先生が言うように、「報恩感謝の心」は死んだのでしょうか。
すでに与えられていることに感謝し、
可能ならお世話になった方にお返しする、
それが難しいなら、後に続く者に恩を送る

それって、ごくごく普通の日本の営みだったと思うのですが。

「報恩感謝の心」が死んだとすれば、日本が死んだことになりかねませんよね。
自己中心的な社会、大丈夫でしょうか。

[SE;KICHI]
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