FC2ブログ

虫の目と鳥の目

もうすぐ、富山市長選があり、現職の森雅志市長は退任が決まっています。
15年に及ぶ森市長の市政運営には、巷間、様々な意見があったようですが、
私は、彼のドラスティックな政策を、ワクワクしながら応援していたほうです。

路面電車の延伸や南北接続など、交通系の政策が目立ったので、
そのいかつい風体も相まって、建設業のようなイメージで見られがちな彼ですが、
かねがね、彼の真骨頂はデータ分析の緻密さにあると感じていました。

たとえば、いま、富山市の事業として、全小学生にGPSセンサーが配布され、
得られた情報を収集することで、登下校時の実態を「見える化」しています。
これは、小学生がどこをほっつき歩いているのか興味本位で調べているのではなく、
小学校やPTA、自治振興会等で活用するためです。
ある日のとある小学校を例にとると、
放課後、GPSによればたくさんの児童が、
わざわざ川を渡って校区外の一点に集合しているとします。
ゲームセンターか駄菓子屋か……と思うでしょうか。
実際は、そこにあるのは学童保育で、
寄り道もせず直線的にそこに向かっているところを見ると、
コミュニティバスにでも乗ったのかな?と分かるわけです。
だとすれば、校区内に学童保育が不足しているということになるわけで、
学童保育を新設しようか、既存施設を拡充しようか、
はたまたコミュニティバスの増便しようかという判断につながるわけです。

データ分析ということで言えば、
富山市は「センサーネットワーク」といって、
市内全域に無線通信ネットワーク網(LoRaWAN)が展開されていて、
これに接続された IoTセンサーからの収集データを、
一元管理するシステムが構築されています。
このことは広報誌などを通じて各家庭に周知されているので、
だいたいの市民が知っている話だと思いますが、
このシステムで集約したデータを分析・活用することにより、
たとえば、そろそろ田植えだよとか、花粉が飛び始めましたよとか、
どこそこの道路に穴が開いていましたよとか、
市民に密接な関係のある発信が行われているそうです。

いま、富山市の取り組みを紹介したわけですが、
しかし、こういうのって、一種の管理社会だとは思うのです。
だって、全小学生に配布されているGPSセンサーは防犯ブザーに内蔵されているので、
言ってみれば、本人が気づかないうちに持たされているわけです。
それって、噛んだガムで盗聴器をテーブルの裏に貼り付けるような、
スパイ大作戦かルパン三世かという手口ですよね。
俯瞰して、行政が行うような手口ではないでしょう。

このごろの、給付金がどうとかワクチン接種がどうとかいう国の施策には、
何かにつけてマイナンバーを紐づけたいという意図が見え隠れしていますが、
実際のところ、給付金やワクチン接種を受けるかどうかは個人の自由であり、
本来、国からコントロールされるようなことではないので、
本当はマイナンバーのようなもので全数管理するようなものではないはずなのです。

つまるところ、効率的な行政サービスというのは、
そもそも、意図せずに、住民を管理する方向に進みがちなのです。
したがって、その管理はすべからく住民にためになるのかという、
提供側に、常日頃からの点検が求められているということになりましょう。

手元に、富山中部高等学校同窓会の2006年の会報があります。
森市長が寄稿されたと聞いて取り寄せたのですが、
ここで森市長は、富山市について、
「車社会を前提に住宅や大型店舗が地価の安い郊外へ移転し、
郊外化が進んで薄く広く発展した結果、
中心市街地の空洞化が進み、地価が下がるなど、
県庁所在地なのに、それに見合った商業集積がない」と指摘しています。
この15年前の言説は、おそらく今でも正しいデータ分析なのですが、
ほぼ全員が車を所有する富山市民は、
当時、「郊外化の何が悪い」という感覚だったように記憶しています。

今年の1月、富山県は記録的な大雪に見舞われました。
除雪が追い付かず、山でもないのに交通が麻痺した地区もあって、
近年は雪が少なかったから除雪が下手になっていたとか、
同じ理由でドライバーの雪道運転の技術が鈍っていたとか、
事後に盛んに検証はされていましたが、
私が思う、交通が麻痺した一番の要因は、
勤勉というか律儀な県民性が仇となったのだと思うのです。
ほぼ全員が車を所有する富山県民は、
ほぼ全員が車を駆って、何が何でも出勤しようとします。
他県では、ほとんど考えられないことですが、
富山県民は、雨でも雪でも、必要なら路面状況を勘案して早く出発してでも、
どうしても既定の時刻に到着しようとするのです。
そのため、恒常的に雪道に渋滞が発生し、除雪車は来られぬということになります。
しかも、前述のように「ドライバーの雪道運転の技術が鈍って」いたため、
道の真ん中で積雪に突っ込んで立ち往生する車も多く、
市中のいたるところに、動けなくなった車が放置されていました。
そして、その放置車両が邪魔をして除雪車がやってこないという、
まさに悪循環に陥って、交通機能が麻痺したわけです。

後日、県民たちはそのことで、初動が遅いとか何とか県知事を批判していましたが、
県知事は私の知人でもあり、彼の名誉のために言えば、
その豪雪の日、私が知事に「何かできることはあるか」と聞いたところ、
「出勤しようとしないで、家にいてください」と言っていました。
誰もそうしなかったので、こうなってしまったということです。

そして、その日、私は、森さんの言ったとおりだったなと思ったのでした。
郊外化を抑制して、ほとんどの場所にクルマ以外の方法で行けるようになっていれば、
なにも、こんな大雪の日に、1人1台、クルマを出して、
混乱する必要はなかったことでしょう。

また、変化を嫌がらず、何が何でも出勤しようとする県民性を捨てていれば、
そういう日は家でおとなしくしていようということになったでしょうから、
少なくとも自分が道路を塞いで、
他人に迷惑をかけるようなことにはならなかったでしょう。

偶然にも退任の年、
彼の、中心部に公共投資しようというポリシーの正しさが証明されたのでした。
お疲れさまでした。

[SE;KICHI]
スポンサーサイト



コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

kkseishin

Author:kkseishin
株式会社セイシン
私たちは工場設備機器を中心に、お客様にご提案・販売をしている総合商社です。

■富山本社/〒930-0821
富山県富山市飯野16番地の5
TEL:(076)451-0541
FAX:(076)451-0543

■新潟営業所/
〒950-1142
新潟県新潟市江南区楚川甲619番地6号
TEL:(025)283-5311
FAX:(025)283-7469



URL:http://www.kk-seishin.com/

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR