fc2ブログ

オノ!

当社で、「“キヨハラ”と言えば……」というような、
『クイズ 100人に聞きました』的な問答が盛んなのは以前に紹介した通り。


たとえば、文学部出身の Okei さんに、「“フジワラ”と言えば……」と尋ねたところ、
「道長、美智子」との答えをいただきました。
韻を踏んで「みちなが・みちこ」と、まるで夫婦漫才師のようなネーミングで、
平安の政治家と平成のメークアーティストを一緒くたに答えるOkei さんのセンスに、
理系学部出身で文学の授業のなかった私は、感服しきりです。

さて、今回のテーマは「“オノ”と言えば……」です。

やっぱり“小町”でしょうかね。

いや、いぶし銀の俳優として“武彦”も捨てがたいですね。
最近では“真千子”もあるかもしれません。

小野篁
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E9%87%8E%E7%AF%81

……はい、みなさんさすがですね。
お察しのとおり、オノと言えば小野篁ですよね。

小野篁というと、「参議篁」として歌が百人一首に収録されているので、
聞いたこともないわ!という人物ではないでしょう。
“参議”というのは、まぁ、いまで言う大臣クラスということです。
ちなみに、百人一首に収録されている、
「わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人の釣舟」
という歌は、
「『広い海を、たくさんの島々を目指して漕ぎ出して行ったよ』と、
都にいる人々に告げてください、漁師の釣り船よ。」という、船出の歌です。

この、小野篁という人は、平安時代前期に何人もの帝に仕え、
頭脳明晰にして博学であり、さらに優れた実務能力を持った官吏で、
非常に優秀な仕事ぶりであったようです。
また、その体躯は188センチの巨漢といいますから、
堂々たる人物であったことが伺われます。

しかし、一方で、当時としてはなかなかのアウトローで、
遣唐使に選ばれておきながら、
そのころに連発していた遣唐使船のトラブルを嫌がって、
最終的に乗船を拒否したため、実際には中国には渡っていないうえ、
遣唐使の事業を(ひいては朝廷を)風刺する漢詩を作ったため、
この漢詩を読んだ嵯峨上皇が激怒し、
官位を剥奪されたうえで隠岐国への流刑にされています。

前述の歌は、篁が隠岐へ流される時に作り、京の宮廷の人々に送った歌です。
「大海原へ漕ぎ出すぞ」という出航の歌かと思うかもしれませんが、
実際は、流刑に処せられ、遠く寂しい離れ小島へと渡っていく孤独な情景です。
達観しきったような寂しい背中が見えるようです。

さて、それよりも、小野篁といえば、昼間は朝廷で仕事をしながら、
夜間は冥府において閻魔大王の裁判の補佐をしていたという伝説があります。
いまでいうところの、なかなかのダブルワークですよね。
それどころか、閻魔王宮では第二冥官だったといわれていますので、
つまり、閻魔大王に次ぐ次席裁判官というわけで、地獄でもなかなかの出世です。
広間はOLで夜はチーママみたいな感じでしょうか。

朝廷での彼の上司に藤原良相という人がおり、
この人は、以前、篁が仕事でミスしてしまった時に、
強く弁護してくれたことがあったそうです。
何年か経って、あるとき良相は重病となり、他界したのですが、
閻魔大王の前で、判決を言い渡されようとした、まさにそのとき、
ふと閻魔大王を見れば、そのかたわらには篁がいました。
そして、「助けてやって欲しい」と、篁が閻魔に掛け合ってくれたため、
良相は蘇生することができたと、そういう話が残っています。
いやぁ、人には親切にしておくものですね。

まぁ、伝説なので、信憑性が云々の話ではありませんが、
「本当だったらいいのにな」と思っている人は多いようです。
実は、紫式部と篁のお墓は、紫野という地区の、お寺でもなんでもない場所に、
ぽつんと二つだけ、並んで建っています。
小野篁と紫式部、奇妙な取り合わせに思えますが、
2人には何か縁があるのでしょうか。
実は、紫式部といえば、
このブログでもちょくちょく取り上げている古典文学の作者ですが、
「源氏物語という色恋の絵空事を書いて多くの人々の心を惑わした」罪で、
死後、地獄に堕ちたと言われていて、
それを気の毒だと考える熱狂的な源氏物語ファンが、
わざわざ紫式部の墓の横に小野篁の墓を移動させて、
紫式部を助けるように頼んだのだといいます。
昔の人は、本気で篁に、閻魔さまへとりなしてもらおうとしたのですね。

私は、こういう伝説自体は、荒唐無稽だなぁとは思うのですが、
その伝説が成立していく背景というか、人間の業みたいなものを、
面白いものだなぁと思います。

そのへんが着目されたか、
10年ほど前には十津川警部ミステリーのシリーズに、
『十津川警部 京都から愛をこめて』というのが刊行されました。
小野篁の予言の書がテレビのお宝鑑定番組で紹介されて……という話。
やはり、みんな、そういう話が好きなんでしょうね。

さて、京都には六道珍皇寺というお寺があって、
そこには、彼が冥土へ出勤するのに使ったという井戸があり、
その筋の方からは注目を集めているようです。
見てみるのも一興かもしれません。

ちなみに、冒頭に登場した弊社の Okei さんに、
「“オノ”と言えば……」と尋ねたところ、
なんと、彼女の答えは「ヤスシ」でした 笑
さすがに……それはどうかしていますよね。

[SE;KICHI]
スポンサーサイト



コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

No title

www ヤスシはない! www

No title

うーん、「オノ」は「シンジ」っしょ。
プロフィール

kkseishin

Author:kkseishin
株式会社セイシン
私たちは工場設備機器を中心に、お客様にご提案・販売をしている総合商社です。

■富山本社/〒930-0821
富山県富山市飯野16番地の5
TEL:(076)451-0541
FAX:(076)451-0543

■新潟営業所/
〒950-1142
新潟県新潟市江南区楚川甲619番地6号
TEL:(025)283-5311
FAX:(025)283-7469



URL:http://www.kk-seishin.com/

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR