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一網打尽願望……結局は貧乏性

学生時代の先輩に、自室に風呂がない安アパートに住んで、
かといって金欠のためになかなか銭湯などにも行けず、
日常的に入浴はできないのだという人がおりました。
人体というものは、だいたい4~5日も入浴せずにいると、
髪が油っぽい感じに見えるとか、なんとなく匂うような気がするとか、
控えめに言っても不潔な感じに見えてしまうものです。
彼は、半月も入浴しないこともザラにあったのですが、
そうなると、通っている雀荘から匂うから帰ってくれと言われたり、
乗ったバスでは混んでいても彼を中心に人がいなくなったり、
少し不潔とかいう次元ではなく、あからさまに汚い感じになるものだそうです。

なぜ、そういうバカなことをしていたのかと聞けば、
最初は、確かに、自室に風呂もなければカネもないからという、
よんどころない事情だったそうですが、
途中からは、いつかせっかく風呂に入るとき、
すべての汚れを脱ぎ捨てて新しい自分に新生するのだ!という、
妙な妄想に取りつかれてしまい、
むしろ、あらかじめ存分に汚しておいたほうが、
すべての汚れを脱ぎ捨てる際に快感なのではないかと思って、
もう、やめるにやめれなかったとのこと。
現在は誰もに名を知られる上場企業で管理職をしている立派な彼は、
「あの頃はどうかしていたね」と言います。

ちなみに、満を持して入浴した風呂。
彼は自室に風呂がないので、とある後輩の部屋が犠牲になりました。
いやあ、実際に私が彼の入浴シーンを見たわけではないのですが、
浴室を提供した後輩によれば、、
人間の身体に、こんなにもたくさんの汚れがついていることがあるのだと、
変に感心してしまうほど、浴槽の湯が変色したそうですし、
入浴後の浴室から悪臭を抜くのに2日くらい換気扇を回しっぱなしだったと聞きました。

……何の話か見失いましたが、
私は、この、「どうせやるなら……じゃないと」という思考は、
あまり良い結果を生まぬと思うのです。

いや、たぶん、みんなに、
“一網打尽にしたい欲求”というのがあるのではないかと思うのです。
いや、それはみんなにあるんじゃないかと思ってるのですが、
どうせやるのでしょうなら、まとめてやっちゃいたいっていう、
一見すると合理主義っぽい、アレです。

たとえば、みなさんも、虫歯の治療というわけではなく、
歯垢除去などのメンテナンスのために定期的に歯医者さんに行くでしょう。
その費用って、だいたい、毎回定額だと思うのですが、
その金額を支払えば、
そんなに汚れていなくても、もしくは、すごく汚れていたとしても、
おおむね、毎回同じレベルにまできれいにしてくれますよね。
そういうときに、私は思うわけです。
金額が一緒なら、汚いほうが得じゃね?って。

たとえば、みなさんも、別に致命的なケガをしたわけではなくても、
整体とかエステとか、定期的に肉体のメンテナンスに行くでしょう。
それも、やっぱり、だいたい定額になっていると思うのですが、
骨格があまり歪んでいなかったとしても、はたまた、ガタガタに歪んでいたとしても、
その規定の施術料金さえ支払えば、
だいたい日常生活に支障のないレベルにまで整えてくれますよね。
そういうときに、またしても、私は思うわけです。
金額が一緒なら、歪んでたほうが得じゃね?って。

ちょっと貧乏くさい話になってきて、恐縮です 笑
が、そんなに悪化していないものをチョイチョイっとされて費用を請求されるのと、
かなり深刻な状況のものを熱心に手を入れてもらって費用を請求されるのと、
金額が同じなら、後者のほうがありがたみがあるというものでしょう。
まぁ、感覚的なものですが、少なくとも私はそうです。

もちろん、だからと言って、わざと歯を磨かずに歯医者に行ったり、
わざわざ腰などを痛めてから整体に行ったりということはありません。
それでなくても歯医者さんというのはなかなか褒めてくれないものですが、
そんな汚い歯で行ったら何を言われるか、想像しただけでげんなりしますし、
整体に至っては、あまりに腰を痛めてしまうと、
その施術では治せないようなレベルかもしれず、リスキーです。

そうです、この感覚は間違っているのです。
本当に一網打尽がよければ、そもそも歯垢除去になど行かず、
歯垢を貯めまくって、虫歯になってから行けばよいのです。
整体も、細かく定期的なメンテナンスなどに通わず、
足腰が立たなくなってからバキッと治してもらえばいいのです。
ただ、それだと大変だし、
そもそも、結果的に治療費がかさむ可能性が高いので、
意味があるのかどうか、よく分からぬと思いつつ、
みんな、歯垢除去や定期メンテに通っているわけです。

ただ、この一網打尽を望む感覚は、
多かれ少なかれ、みなさんにもあるのではないでしょうか。
ほら、せっかくアカスリに行ったら、
自分の身から出たアカを見て、「おわぁ〜」とか、驚いてみたくないですか。
あんまりアカが出なかったらがっかりすることでしょう。

いずれにせよ、「どうせやるなら……じゃないと」という感覚が、
日本中のそこここに蔓延しているせいで、
歯垢除去にしろ骨盤矯正にしろアカスリにしろ、
定期メンテナンスを怠る者があとを絶たないわけで、
結果的に医療費高騰などの社会的課題を引き起こしていると思うのです。

結局、日本人の特性なのかもしれませんが、
このブログに何度も登場している山本七平よろしく、
人々の「どうせやるなら……じゃないと」などという、
薄く広がっている貧乏性が、なんとなく妙な価値観を作っている気がします。

[SE;KICHI]
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