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知らぬ罪

さて、クリスマスが近いこの時期、各家庭ではシュトーレンを焼き、
子供に何をプレゼントするか、準備に余念のないことでしょう。
冬の風物詩として、微笑ましい光景だなと感じます。
しかし、どの家庭にもそのような幸せが来るかといえば、
それは幻想です。

私たちが詳しくは知らないということは、あるものです。

たとえば、児童相談所。
たまに目にする児童相談所がらみのニュースというのは、
だいたいが、対応が後手に回って子供が犠牲になりましたというような、
あまりポジティブではないニュースが多いためか、
世間の方の児童相談所への見方は厳しいものだと思われます。

しかし、知っていますか。
児童相談所による一時保護の件数は、全国で年間2万件超だそうです。
この数字が多いのか少ないのか分かりませんが、
たとえば、私が住んでいる富山県の場合、
児童相談所による一時保護の件数は、年間100件ほどだそうですから、
これはつまり、3日に1回ほどの頻度で、
県内各地で子供が保護されているという計算になるわけです。
私は、この件数を尋常ではないと感じますが、
それでも、実際に自分の親類縁者や友人知人が経験していない限り、
なかなか、身近なことと捉えるのは難しいかもしれません。

では、どのような子供が一時保護されるのでしょうか。
たとえば、夫婦関係に問題がある場合、
一時的に子供を預けてその間に関係を立て直そうとか、
そういう前向きな目的をもって入所させられる子供もいます。
しかし、多くの子供は、
両親の死亡のような先の見えない環境の変化であったり、
もしくは虐待の恐れがあるなどで、
このまま両親のもとに置いておくことで身に危険が及ぶと判断され、
緊急措置として、連れてこられるケースが多いわけです。
ちなみに、前述の、前向きな目的をもって入所させられる子供の場合、
ちょっとした合宿のような形で収容されてくるようですが、
後者の、緊急の場合は着の身着のままで入所することになりますから、
ずっとその時の服装のまま過ごすことになります。

一時保護された子供たちは、どのような場所で過ごすのでしょうか。
富山の場合、築40年を超えた施設で過ごします。
一時保護というからには数日間かなと思うかもしれませんが、
次の行き場が決まるまで、その施設で過ごさなくてはなりません。
“次の行き場”とは、もとどおり両親の元に戻ることになるのか、
それとも施設に入居することになるのか、受け入れてくれる里親が決まるのか、
ということで、そんなの、なかなか簡単に決まるものでもないので、
結局、かなりの日数、彼らはそこにいなくてはなりません。
その日数は全国平均で29.6日です。

つまり、築40年を超えたコンクリート造りの施設で、
着の身着のまま、1カ月近くを過ごす子供。

施設内のソファーはスプリングが飛び出したのをガムテープで補強したもので、
幼児用の絵本も破れ、ページが脱落したりしています。
子供たちは消しゴムひとつ自分用には買ってもらえず、
丸くなったクズのような消しゴムをみんなで共有して使います。
着の身着のままの連れてこられた子供たちの着替えの服ももちろん、
なにひとつ自分用のものは与えられません。

プレイルームの壊れかけソファーセロテープで補強した絵本クズのような消しゴム

ちなみに、申し添えておくならば、
この施設は行先を決めるまで一時的に保護するための場所なので、
ここで長期に生活することは想定しておらず、
この施設から学校に通うとか、そういうことはできません。
保安上、外には出られず、子供たちは、じっとその中で過ごします。

……牢屋かよ。
初めて視察した際の、私の感想です。

収容されている子供たちには、少しも罪はありません。
ただ、両親が早く死んでしまったとか、失踪してしまったとか、
虐待するタイプだったとか、そういう不運が重なっただけです。
仏教では子供は親を選んで生まれてくるといいますから、
そこまでさかのぼって、その親を選んだ子の責任と言われれば、
それは返す言葉もありませんが、
少なくとも、生まれてこの方、その子には罪はないはずです。
なのに、牢屋。
冒頭の、シュトーレンを食べ、プレゼントをもらう、
温かい団欒など、望むべくもありません。

ところで、その牢屋で過ごす子供たちも、いずれ大人になっていくわけです。
大人になった時、この経験がどのように響いてくるでしょうか。
シュトーレンを食べ、プレゼントをもらえる子供と、
破れてページが抜けた絵本を毎日静かに眺める子供。
私は、大人になった時の自己肯定感に重大な差が生じるのではないかと思うのです。
幼少期にうまく自己肯定感を育めなかった子供が、
大人になってからそれを取り戻すことは難しいものです。
だとすれば、幼少期にあんまりみすぼらしい体験をさせるものではないと思うのです。

なぜそのようなことになるのかといえば、
このような一時保護所には、充分な予算が充当されていないから。
年間26万円しかないので、ティッシュとかトイレットペーパーを買ったら終わりです。
絵本を新しく買うこともできませんし、着替えを買うこともできません。

予算の問題といわれたら、私たちが口を出せることはありません。
しかし、みなさん、児童相談所による一時保護のこと、知らなかったでしょう。
学校とか図書館とか、普通の人が利用する施設と違って、
多くの方にとって、児童相談所はなじみが薄い施設でしょう。
“知らぬ罪”というものが、あるのです。
マザーテレサは言いました。
愛の反対は無関心だ
ほんの少しでも関心を持って現実を知ることは愛だと思い、
お伝えした次第です。

クリスマスイブの今日、みなさんの手元にある、
シュトーレンを焼いて家族で食べ、子供たちへのプレゼントを考える家庭は、
もう、本当に本当に、幸せな家庭なのです。

[SE;KICHI]
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No title

なるほど。
そういうところにばかり注目するのって、偽善的だなと思ってたけど、少数の人しか利用しない施設だからこそ、確かに環境は悪いかも。
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