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やっちまった! ~抑えきれない欲望~

押しボタンを見ると押したくてたまらなくなってしまうという話をすると、
途中までは「分かるよ、押したくなるよね」と好意的に聞いていただけるのですが、
最終的に我慢できずに押してしまうと話すと、高確率で危ないヤツ扱いされます。
いや、でも、それって、最終的に我慢できずに…って意味では、
「お酒を飲んだ後にはラーメンが食べたくなって、食べちゃう」とか、
「風呂上がりにはビールが飲みたくなって、飲んじゃう」というのと同じですよね。
そんなに私ばっかり変人扱いされるのは……と、ちょっと不満です。

さて、先日、押してしまいました、中央線の駅で。
いや、もちろん、私も、それなりに大人として生活していますので、
押しボタンを見て、押したくてたまらなくなってしまったとしても、
「ダメよ」と言われているボタンを押すようなことはありません。

押たのはコレ。
正確には、「ダメ!」と言われているわけではない、
でも、普通の人は押さないであろうボタンです。

東京駅発車ベル釦 東京駅発車ベル釦-アップ

コレ、何のボタンか分かりますでしょうか。
各ホームに設置されている「発車ベル」ボタンで、
これを押すと、そのホームに発車ベルが鳴るというボタンです。
発車ベルというのは、たとえば中央線だったら、こういうメロディーです。



このボタンは、各ホームの通常は両端、
電車が入線した時に車掌室前にくるような場所に設置されています。
到着した電車のドアを開けた車掌さんは、車掌室から出てホームのこのボタンを押し、
30秒ほど発車メロディーを鳴らしてから車掌室に戻って、
指さし確認などして、ドアを閉めて発車していくのです。
つまり、ホームにいる人に「ドアが閉まりますよ」という合図を送る、
まぁ、車掌さん専用のボタンなのです。

コレがそういうボタンだということは、観察の結果、以前から知っていました。
当然、押してみたいなぁと思っていたわけです。
しかし、たとえば、不用意に押すと列車転覆の恐れがあるとか、
そういう重大なインシデントが起こるようなボタンを押すわけにはいきません。
そこで、よくよく自制しつつ、注意深く観察を重ね、
押しても大丈夫な、安全なボタンと悟ったところで、
押してみたいなぁという欲求は大きく膨らんで破裂したわけです。

そして、これが一番大切なのですが、
このボタンには「押してはいけません」とは書いてないのです。
上の左の写真を見てくださると分かると思いますが、
「発車ベル」のボタンの上のほうにある、異変を知らせる系のボタンのところには、
「むやみに押すと罰せられますよ」的なことが書かれているのですが、
下の「発車ベル」のボタンには何も書かれていません。
まるで小学生のような理屈ですが、何か言われたとしても、
「だって、ダメって書いてなかったじゃん」とか、言えそうな感じがします。

これは、押しても大丈夫だな  ( *´艸`) フフッ

はい、押しましたとも。
軽やかな発車メロディーがホームに流れ、私はとても満足しました。

ところで、これは、特に意味なく、押したくなったから押しただけの話なんですが、
いちおう、押す前にビビった私はちょっと保険を掛けておりまして、
ホームに電車も何もいない、発車メロディーが鳴るはずのないタイミングではなく、
まさに、到着した電車が発車しようとするタイミング、
本来であれば車掌さんが「発車ベル」ボタンを押すべきタイミングで、
物陰からスッと現われて、車掌さんよりも数歩早く押すという手法をとりました。
要するに、「どうせ押すボタン、代わりに押してあげます」作戦です。

そのうち電車が入線してきました。
車掌さんがホームの「発車ベル」ボタンに向かって歩きはじめたところ、
ぬるりと私が物陰から現れてきて、代わりに「発車ベル」ボタンを押したわけです。
車掌さんにしてみれば、物陰から出てきた者に先手を奪われる格好になりましたが、
その車掌さんは怒ることなく「あっ、ええぇ~」と言いながら半笑いで、
私が鳴らした発車ベルを20秒ほど聞いた後、「切」ボタンを押して去っていきました。
また、近くにいた駅員さんからも、
「あははは、も~、ダメですよ~」って笑われただけで済みました。
いやぁ、日本、寛大ですね。
って、外国でそういうことをやってみたことはないですけど。

こうして、私の欲求は満たされました。
「あははは、も~、ダメですよ~」って笑われただけなので、
これって、たいした話ではないんですが、
しかし、「押しボタンを見ると押したくてたまらなくなってしまう」というのは、
“そうしたいと思ったら、それをしちゃう”と言う意味で、
「カッとするとつい相手を刺しちゃうんですよね」というのと思考構造が同じです。
そう考えると、大丈夫なんでしょうか、私。

[SE;KICHI]
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