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左と右

私は子供の頃から国語辞典を“読む”のが好きでして、
ヒマがあれば「あ」から順番に読んでいったものです。
いま、ヒマ潰しといえばスマホが定番で、
地下鉄に乗ったりすると、何か新種のウイルスにでもやられたかと思うほど、
ほぼ全員がスマホを見つめ、ゲームに興じたりしてヒマを潰していますが、
国語辞典を読むというのも、
なかなか、ヒマ潰しとしては、かなりのヒマを潰すことが可能です。

私の自宅にある時点で、最も愛用しているのが広辞苑(岩波書店)です。
国語辞典といえばコレって感じでしょうか。

試しに何か引いてみましょう。
こういう時に私が面白いと思うのが、相対的に意味が変わりそうな単語。
たとえば“右”とか。
試しに考えてみてくだされば分かりますが、
“右”って何でしょうか、
意外と説明が難しいことに気づくと思います。

広辞苑の場合は、「南を向いたときに西にあたる側」だそうです。
これを初めて見たとき、私はなるほどなぁと感心したものです。
いや、なるほどなぁとか、そんな浅いものではなく、
編者の新村出さんに対して敬服の念を抱いたといってよいほどの感心です。
新村出さんには、「雲」という単語1つについても、語源や意味、用法など、
ノートを4冊も使って意味を調べあげたというエピソードがあります。
おそらく、“右”などというくだらない単語でも然りでしょう、
プロの仕事だなと感じ入るのです。

さて、こうなってくると、他の辞典ではどう書かれているのか、気になりますよね。
広辞苑のほかに、現在自宅にある国語辞典ということで、
明鏡国語辞典(大修館)を引っ張り出してきました。
大修館といえば、普段から大漢語林という漢和辞典をよく使うのですが、
国語辞典については、普段は広辞苑があるので、
明鏡は奥にしまってあったのですが・・・・・・、
気になってしまったものは仕方がありません。

明鏡では、“右”とは、
「人体を対称線に沿って二分したとき、心臓のないほう」だそうです。
なんかこう、人体を二分したときという表現が、
理科室に展示されている人体標本なんかを思い出させたりして、
シュールというか、不思議な気分にさせられます。

それより明鏡の特徴的なのは、“右”ごときで例文が載っていることです。
例文:「[X線写真を見て医者が] ―の肺に陰があります。」
・・・・・・わざわざ注釈付きで例文に挙げるような用例でしょうか、コレ。
徹底的に人体にこだわる姿勢も特異な明鏡国語辞典です。

いずれにしても、“右”という単語は、
広辞苑と明鏡国語辞典とで説明が違うということが分かりましたね。

さらにほかの辞典ではどうなっているのでしょうか。
気になり出したら止まりません。
図書館に行ってみることにしましょう。

日本国語大辞典(小学館)は、私は初めて見た辞典でしたが、
“右”という単語については、
「正面を南に向けたときの西側にあたる側」という広辞苑型の説明と、
「人体で通常、心臓のあるほうと反対の側」という明鏡型の説明が併記。
むむっ、両方書いておくなんて、なんだか卑怯……と思いませんか。

それから、大辞林(三省堂)によれば、“右”とは、
「大部分の人が、食事のとき箸を持つ側」だそうです。
これは大辞泉(小学館)もそうでした。
ちょっと、そう言い切ってしまうのは大丈夫なのか、
意外と時代がかった表現のような気もしてきますね。

さて、図書館から戻り、自宅で一番古い国語辞典を引っ張り出してきました。
それは大言海(冨山房)
60年も前に刊行された古い国語辞典が説明する“右”とは・・・。
まさかの……「左の反対」。
ちなみに“左”の項目には、みなさんの予想通り、「右の反対」。
まるで子供をからかう婆さんのような答えです。

ところで、最後に豆知識ですが、
“右”という漢字の1画目は上から左下への払いです。
一方、“左”という字は、左から右への横一文字が1画目です。
“右”は右手、“左”は左手を表していて、
“右”は横棒が腕、払いが掌、“左”は横棒が掌、払いが腕だそうで、
掌を書いてから腕を書くので、“右”は左払いから、“左”は横棒から書くのだそうです。
面白いですね。

[SE;KICHI]
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