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にくきもの

枕草子の第28段は有名な「にくきもの」という段で、
そこには、「にくきもの(=憎たらしいもの)」がいろいろ挙げてありますが、
物うらやみし、身の上嘆き、人の上言い、
つゆ塵のこともゆかしがり聞かまほしうして、言ひ知らせぬをば怨じそしり、
また、わづかに聞き得たる事をば、われもとより知りたる事のやうに、
こと人にも語りしらぶるもいとにくし。

と書かれています。
これはつまり、他人を羨んで自分の身の上を嘆き、
人の噂話をし、根掘り葉掘り聞きたがって、教えてもらえなければ逆恨みまでする。
また、ちょっと耳にしたことを、知ったふうに他人に話して聞かせる。
こういうのは、たいそう憎たらしいものだ
……ということですね。
枕草子といえば平安時代中期の成立ですが、
作者の清少納言の視点には感心させられます。
だって、この「にくきもの」に挙げられているようなバカ者、現代にもいますもんね。

さて、先日、知人が家族旅行で台湾に行ったそうです。
それも秘密裏に。
なぜ秘密裏なのかというと、嫉妬を受けるかもしれぬからとのこと。

う~ん。
秘密で行くなんて水臭いなぁと思う反面、
嫉妬を気にして発言に気をつけねばならない社会って、どうなんでしょうか。

私は、幼いころに聖書の『第一コリント13章』に触れ、
そこで説かれている「寛容で親切であれ。人をねたむな。自慢せず、高慢になるな。
礼儀に反することをせず、自分の利益を求めず、
怒らず、人のした悪を思うな」という教えを、わりと大切にして育ってきました。
そして、それは、濃淡はあっても、みんなそう思ってるだろうと思っているため、
実は、嫉妬という感覚がよく理解できません。
私自身も含め、人間、嫉妬はないとは言いませんが、
そもそもポジティブな感情ではないので、各自が自制するものであって、
不用意に嫉妬を撒き散らすことはないだろうと思っているのです。
だから私も、誰かに嫉妬することは少ないし、
逆に、自分が嫉妬されることもないだろうと思っています。

私が長く教わり、肝に銘じてきたのは、
もし、誰かの行為(旅行など)に対して、自分が「いいなぁ」と感じたとしても、
その人は、何かズルをして労なくして実りを手に入れたわけではなく、
相応の努力(旅行であればせっせと資金を積み立てたとか、
仕事を融通して休める日を捻出したとか)を重ね、
その結果を手に入れたのだということです。
だいたい、経済状況から名誉や健康に至るまで、
すべての結果は、当人の努力によって成り立っているのであって、
努力して手に入れたものへの嫉妬はお門違いというもので、
むしろ、その努力に対して「よかったね」と『祝福』を与えるべきでしょう。

また、嫉妬というか、羨ましいという感覚は、それが自分の理想像でもあるということですよね。
先を越されて悔しいとか、そういう感情でしょう。
そうであれば、自分も、その理想に向かって努力精進しよう!と決意するべきであって、
妬んだり、嫌味を言ったりすることは、自己の理想像の否定することになります。
それって、自分にとっても損なことであると言われています。

ちょっと理屈っぽくなってしまいましたが、
だいたい、嫉妬って、なんのためにするんでしょうか。
嫉妬している本人は、嫉妬している状態が楽しいんでしょうか。
嫌味を言っている人は、誰のためにそれを言っているんでしょうか。
誰もハッピーにならないなら嫉妬なんてやめたらいいし、
誰も喜ばないなら嫌味なんて言わなかったらいいんです。

「あらあら、ご家族で海外旅行だなんて、優雅ねぇ」と言うとき、
そのあとに続くのは、「ウチなんて、とてもとても無理ですわ」という言葉。
これは、一見謙遜のようにも聞こえますが、
結局、相手をハッピーにしない言葉だし、
自分には無理だという自己暗示をかける言葉です。
昔から「つぶやく者の恋は成就しない」というでしょう、
意図もないのに「とても無理ですわ」とか言っていると、
本人の望み通り、ハッピーは遠ざかっていくに違いありません。

しかし、私自身はよく理解できていない嫉妬ですが、
体感的に、世の中には嫉妬の気持ちを持っている人が多いことは知っています。
冒頭の家族旅行の彼も、嫉妬を警戒して発言の抑制を強いられているわけですから、
事実、その潜在的な影響はかなり大きいようです。

軽く想像してみましょう。
いま、旅行者が、嫉妬を気にして旅行したことを公言しにくいとします。
それでは、何だったら公言しても大丈夫なのでしょうか。
おそらく、家もクルマも家電も、何か高額の買い物をしたことは秘密でしょう。
相撲や歌舞伎を観に出かけたり、有名な美術展を鑑賞に行ったり、
被災地に寄付したようなことも公言してはいけないことになります。
そうすると、人に公言できるようなことはほとんどなくなり、
昨日、コンビニでパンを買って食べましたくらいの、
意味のない体験談しか言えなくなります。
結果、努力によって手に入れたものについて、話すことができなくなります。

努力によって手に入れたものについて、話すことができない社会とはなんでしょうか。
それは、昔ならソビエト、今なら北のアノ国みたいな感じでしょう。

だいたい、私自身の感覚に従えば、
“スペイン周遊8日間”などであれば、いま調べたら 1人38万円ほどらしいので、
それは、もしかしたら嫉妬を受けるかもしれないとは思うのですが、
台湾なんて、下手な国内旅行よりも安く行けるというのに、
それでも、聞いた側が嫉妬することがあるとすれば、
それは内容と関係なく、もはや、嫉妬すること自体が目的化しているということでしょう。
果たして、それのどこが楽しいのでしょうか。

誰かの話を聞いて羨ましいと思うことは自然ですが、
次のステップとしては「アタシも頑張ろうっと」などと決意するのが上策であり、
本当に、そう決意した人が努力すれば、同じ結果を手に入れることができるわけです。

寝言みたいな話ですが、みんながみんなそのように行動すれば、
社会はもっと良くなり、豊かになると思うのです。
一方で、みんながみんな嫉妬して、努力した人の嫌味を言うようになれば、
成功者になりたいと思う人はいなくなってしまいますし、
成功者になりたいと思う人がいなくなってしまえば、
全員一律、突出するものがいない社会になってしまいます。
一億総中流などと言って、日本人はそういう環境を好みそうですが、
牽引する者が不在の社会は、早晩、停滞します。
つまり、嫉妬は社会を停滞させると思うのです。
そう思えば、嫉妬というのはかなりの害悪ですよね。
その害悪を目的にしている心の動きが自分にあるとすれば、
日本の未来や子供たちの未来を思った時、厳に慎むべきです。

いいですか、日本の未来をダメにするのは嫉妬です。
人の成功話を聞いて、嫉妬の気持ちが沸く人は、
自分が日本の未来をダメにする活動をしていると自覚しましょう。

『ヘブル人への手紙』によれば、
私達が嫉妬心を抱くのは、
神様が下さったものに満足していないときであると言います。
なるほど、自分に与えられたものではなく、他人に与えられたものばかり見て、
「神様はなんだか不公平だなぁ」とか思っていれば、
そりゃ、嫉妬するようになりますよねぇ。

嫉妬の反対は祝福です。
みんなが祝福のマインドで他者を肯定し、
家族で旅行に行った話や念願のクルマを買った話を気兼ねなくできる社会こそ、
日本の繁栄のためには不可欠だと思います。

[SE;KICHI]
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No title

もし、本当にそうなら、自分のこと、何も話せないね。
その時は、SE;KICHIさんが言うように、そんな社会は腐ってるよね。
やっぱり、「〇〇に行ってきたよ~。これ、お土産~」とか言えたほうが豊かだもん。

でも、嫉妬を受けるかもしれぬって……本当にそんなことあるんでしょうか?
私にはちょっと信じられない。
昨日、私のママ友も、「明日から家族でハワイ」とか言ってたけど、みんな「行ってらっしゃ~い」って感じだった。
その人、普段からすっごいいい人で、本気で「楽しんできてね」って思った。

思うんだけど、嫉妬される人って、普段から感じ悪いって思われてる人なんじゃないの?
なにかをバレないように黙ってこっそりやったり、いない人を呼び捨てたり悪口を言ったりとか。
普段から裏表のない人物だって見られていれば、嫉妬とかされないと思うけど。

何かの本で読んだけど、嫉妬を恐れる人は、密かに嫉妬されたがっている人だって。
知人の話とか言ってるけど、SE;KICHIさんは大丈夫ですか?

No title

> 「〇〇に行ってきたよ~。これ、お土産~」とか言えたほうが豊かだもん。

確かにその通りですよね!
「嫉妬を受けやすい人」は、なんだか普段から感じ悪いし、嫉妬されても当然な言動をしている人ですよね!

それだったら、「〇〇に行ってきたよ~。これ、お土産~」って、さわやかに言えたほうが、結局は嫉妬されないんじゃ?

No title

こっそり旅行に行くとか、そういうことをするから嫉妬されるんじゃない?
オープンに生きていたら嫉妬されないんじゃない?
アタシの周りでも、子供がどこの中学に進学したのか探るのが好きな人はいるけど、オープンに答える人には嫉妬しないけど、濁したりかわしたりする人には嫉妬するみたい。
どちらにしても、周囲に黙って旅行に行くとか、そういうことしたら何か思われるのは当然じゃない?
その知人の方、人間は嫉妬するもんだと思いすぎなんじゃない? だから、嫉妬を引き寄せてるんですよ、きっと。
もっとオープンだと、嫉妬はされませんよ。
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