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キース・リチャーズ似の彼女

聖書というのは、読むごとに意外な発見があるもので、
もう20年以上前ですが、思い立って少し真剣に読んでみたところ、
いくつかのフレーズに心が奪われたものです。

そのひとつが「あなたの敵を愛せよ」という言葉。
“言葉”と表現してみたものの、
聖書という書物の特性上、これは実質、イエスからの命令です。
それから20年以上を経た私にとっては、敵を愛するなど難しいことでもないのですが、
当時、若かった私にとって、
確かに敵を愛することができれば、それに越したことはないとは思うものの、
かといって、そう簡単に敵を好きになれるものでもないだろうと、
未熟な私にはキレイごとのように感じられて、悶々と悩んだものです。

しかし、聖書は命令ではあるのですが、
よくよく読んでみると、
敵である相手を心から好きになれなどと命じてはいないことに気づきます。
つまり、たとえ心のなかは憎悪で煮えたぎっていようが、
行動において、相手が好人物である場合と同じようにふるまえと、
聖書はそのように命じているのです。
すなわち、内心と行動が違っていても、聖書はそれを許容するということですね。

もちろん、行為が智慧の具現である以上、聖書のその教えは方便だと思うのですが、
しかし、仮に内心は別であったとしても、行動を統御して習慣化することができれば、
習慣化の力が内心を超えることはあり得るように思います。
要するに、そのように振る舞っていれば、そのうち心もそうなるということです。

いずれにせよ、人間は、心のなかには嫌悪や憎しみを抱きながらも、
表情や行動には出さず、表面上の微笑や穏やかさを保っていれば、
いちおう、最低限のところで許されはすると聖書は説いているわけですが、
このところの社会は、思ったことは口にしてしまう社会で、
そういう表面上の“たしなみ”みたいなことを大事にしない感じがします。

たとえば、雑な言い方をすれば、
大人になるために、嘘くらいつけなければ穏やかには生きられないのかもしれませんが、
しかし、その嘘は、その場しのぎのデタラメではなく、
危機回避などのための深い配慮の結果である必要があるでしょう。
いわゆる“優しい嘘”ってやつですが、
そういう意味のある、おそらく聖書的に許される嘘のつき方というのは、
学校で教えてもらえるようなものではないでしょう。
つまり、一人ひとり、哲学がいるのです。

近頃は、テレビも新聞も週刊誌も、とてもうるさく感じます。

私は理系出身ですが、
年次が低いうちは、繰り返し『レポートの書き方』を習います。
そこでは、たとえば花が咲き誇っていたとして、
それを「美しい花」と表現することはいけないことだと教わりました。
美しいかどうかは見る者の主観であって、
それを他者に強いることはいけないことだというわけです。
様々な角度から描写を尽くし、
それを聞いた者に「たぶん、その花は美しいのだろう」と感じさせることが正しい描写で、
つまり、答えを書いてはならぬというわけです。

そこへ行くと、このところの押しつけがましい報道はどうしたことでしょうか。
パンダはかわいいとか、不倫はいけないとか、
説明に出てこない理事長はいけ好かんとか、
だいたい何であんなカタギではない雰囲気を醸し出しているのかとか、
テレビの中で結論を決め、それを押し付けられている感じが不快ですね。

私がたまに行く画材屋の店主は、
もうそろそろ80歳になろうかという常に穏やかなお婆ちゃんなのですが、
その彼女が、たびたび、
年を取ると耳が遠くなって、
つまらないことが聞こえないから幸せよ
と言います。
八千草薫のような上品そうなお婆ちゃんが言うのならともかく、
彼女はキース・リチャーズ似の、穏やかだけどロックな雰囲気な人で、
その彼女が、さもおかしそうに「年を取るって、幸せ」と話すのです。

そういう穏やかな矜持というのは、どうしたのでしょうか。
人間は、心もようを表情や行動には出さず、表面上でも穏やかさを保っていれば、
いちおう、最低限のところで許されはすると聖書に説かれているわけです。
キース・リチャーズでもそれができるというのです。
見た目が似ているだけですが。
いろいろ思うことがあっても、
それらを包み込んで、穏やかに「幸せ」と笑えるのが日本人だったはず。
みんな、どうしちゃったというのでしょうか。
日本、どうしちゃったというのでしょうか。

キース・リチャーズhttps://www.barks.jp/news/?id=1000084040

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