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悪魔の提案

生来、私は興味のあることにしか取り組めないタイプで、
学校生活でも、授業中に走り回るようなことこそなかったものの、
興味のない授業など少しも聞いていなかったし、
それはみんな同じに違いないと、周囲に話しかけてしまい、
やんわりと授業を妨害してしまうことがよくありました。
そのせいか、幼稚園の頃には、私専用の副担任がいましたし、
小学生の頃は、私だけ席替えがなく、先生の机の前に固定でした。
いつか詳しく書きますが、これは障害でしょう。
障害とは、たとえば医学で風邪の症状を呼吸器障害と呼ぶように、
「行うことに困難がある」という意味です。

何が言いたいかというと、社会には私のような者も混じっているということです。
昨今、ビジネスシーンでは、
自ら考え、行動できる人材が望まれているんだそうです。
なるほど、この乱気流の時代、それは重要なことだろうとは思いますが、
実際のところは、自発的に行動することが苦手な人もいるわけで、
とても厳しい言い方をすれば、
そういう人は「障害者」ということになります。
自ら考え、行動できる人材が望まれている社会で、
それができる人を仮に「健常者」と呼ぶことにした場合、
それができない人は「障害者」ということになります。

つまり、人間には個性があるわけですが、
その個性が、社会的な一定水準を満たさないと、
“個性”ではなく“障害”と呼ばれるのだと、そういうことです。
そういう意味で、「自分、不器用ですから」という高倉健は障害者ですよね。
概念としては、「合格・不合格」という選別の価値観に近くなります。

さて、もうずいぶん前の話。
そのころ、私の同級生の女性が出産したのですが、
生まれた子には外見から分かるような障害がありました。
障害はエコーなどでは分からず、生んでみて初めて判明したのですが、
その同級生の女性は、出産直後、まだ下半身がむき出しの状態で、
医師から掛けられた言葉にびっくりしたそうです。

「どうしますか?」

つまり、「死産として役所に届け出ることもできますが、どうしますか?」と、
医師から生かすか殺すかの“選択肢”を提示されたとのこと。
同級生の女性は、いま自分が全身全霊をかけて生んだばかりの、
元気におぎゃあおぎゃあと泣いている我が子に引導を渡すことなど、
露ほども考えられなかったと言い、
そのような、彼女曰く悪魔の提案をしてきた医師を許すことができず、
下半身丸出しで医師を罵り、大暴れしたと言います。

私も、それは確かに悪魔の提案だなと思いますが、
しかし、最近は、出生前診断という形で合法化されつつある感じもします。

妊婦の血液を分析して胎児の染色体異常を調べる出生前診断について、
生命倫理の観点などから議論百出の状態だと思うのですが、
この診断を受けた妊婦はすでに数万人を超え、
それで染色体異常が確定した人の95%が中絶したとのこと。

私は、障害の有無を胎児の段階で調べる出生前診断について、
先日の Okey さんの意見に同意します。
なぜなら、その技術自体、選別の意図を含んでいるように感じるからです。
もちろん、生まれてくる子に障害がないことを願い、
胎児の状態を知っておきたいという妊婦の気持ちは自然だし、
そのうえで受診し、中絶を選択した95%の妊婦に非があったとは思いません。
しかし、受診する人に、障害を排除する意識がなかったとしても、
技術自体、命を選別する方向に強く誘導される感じがします。

かつての優生保護法では、胎児の異常を理由とした中絶が認められていましたが、
現在の母体保護法では、そのような理由での中絶は認められていません。
しかし、出生前診断は、染色体を調べて、結果によって中絶するわけですから、
これは、胎児の異常を理由とした中絶に違いないと、私は思うのです。
1996年の廃止で葬り去られたと思われた優生保護法が復活しているのです。

私は、以前、弊社の Okei さんが言っていた、
起こり得ることにはそうなる意味があるという説
を、
全面的に支持します。
人間は、あらかじめ、生まれる場所や家、両親を選んで生まれてくると言います。
だとすれば、障害を持って生まれてくる子も、
その境遇を選んで生まれてきているのかもしれないと思うのです。
ゆえに、私は、障害者として生まれようとする命を絶つ行為は、
たとえば流産や死産という形で、もしくは生後すぐの夭折などの形で、
神様にのみ許されているのではないかと思うのです。

私は、出生前診断がいかんと言っているわけではありません。
出生前診断自体は、別にいいのです。
出生前診断で障害を持って生まれることが分かったなら、
それに備えて準備をし、万全の態勢で迎えればいいと思いますし、
そういうことのために出生前診断を行うのであれば、むしろ推奨します。
私は、そのあとの中絶が気に食わないのです。
それは、神の権限を代行する行為であり、
許されていないと、私は思います。
まぁ、私は、いかなる理由でも堕胎は許されないと思っていますが。

それから15年くらい経ち、その日に生まれた女の子は、
少し足を引きずっていますし、激しい運動もできませんが、
チャーミングな女の子に育ちました。
それどころか、自分の命に持ち掛けられた悪魔の提案を知っており、
あの日、自分が“処分”されなかったことに、健常者以上の深い感謝があります。
これが、あの日、母親が悪魔の提案に激怒した結果です。

[SE;KICHI]
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No title

うわぁ、悪魔の提案ですね、確かにそれ。

No title

学校で「命は大切に」って教わりましたけど、大人がこれでは、子供になんて伝えたらいいんでしょうか・・・。

No title

この記事、よく考えたらすごいですね!
いかなる理由があっても中絶はダメだって言ってる!
かっこいい!
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