社会に恩を返せるか。

貧困家庭に生まれた子供は、
充分な教育を受けられずに低学歴のまま社会に出る傾向があり、
収入が充分ではないため、結婚すらもままならぬという、
「貧困スパイラル」とでも呼ぶべき現状が指摘されています。

もちろん、私も、それが問題でないとは思いません。
いまの社会システムでは、
やはり、すべての若者を大学まで学ばせる体制づくりが必要だと思います。

しかし、昨今の学生さんと話をしたりしていると、
人間は、一方的に与えられただけの機会に対しては、
特段の感謝もしないし、
その機会を有効に使おうとも思わない
ものなのだなぁと、
つくづく実感します。

私の学生時代に、ストォという年上の、25歳くらいの同級生がおりました。
彼は、どこだったか、東南アジアの国からの留学生だったのですが、
まぁ、それはそれは熱心に勉強していました。
聞けば、彼は貧しい農村の出身だそうで、
そこには小学校のようなものも満足になかったため、充分な基礎教育も受けられず、
寺子屋のようなところで少し字を教わったくらいだそうです。
東南アジアからの留学生といえば国費での留学というイメージがありますが、
そんなレベルでは国費留学生になれるはずはなく、
結局のところ、彼は私費での留学生でした。
村での生活は、毎日の食事にも事欠くほどだったようですが、
彼の父親が必死で働いて、彼の学費を用立ててくれているようで、
彼はそのことに感謝しており、だからこそ熱心に勉強しているのでした。

彼は「ボクはで15歳くらいまで字が読めなかったんだ」と笑ったものですが、
彼はぐんぐん学び、私はみるみる追い抜かれ、
私は、苦手な化学工学などの科目などで、
小学校も出ていないという彼に教えを乞わねばならぬほどでした。
15歳まで字が読めなかったなんて、
本人がわざわざそう告白しなければ、誰も気づきやしないほど、
話してみた彼は思慮深くて賢い人物で、周囲に愛されていました。

私は、彼のような聡明な人が、
経済状況などを理由に鬱々と埋もれていることは、
本人にしても、国益に照らしても、良いこととは思わないので、
貧しさから才能を救い出す公的な手立てはあってよいと思っています。

ただ、やはり、条件があるとは思っています。
それは、契約とか、物理的な意味合いの条件ではなく、内心の。
冒頭の留学生の彼のように、ロクに教育を受けていなくても、
自らを奮い立たせ、
自分で自分自身を教育する気概を持つ人については、
ぜひ金銭的にも救ってあげたい
と思うものですが、
自分で自分を磨く心構えなどなく、
ただ口を開けて待っているだけの人に対しては、
あまり積極的に救ってあげたいとは思わないもの。
まぁ、当時の彼と当時の私、どちらが救われるべきか、という話です。

もちろん、冒頭に述べたように、
貧しさゆえに教育を受けられない人がいてよいとは思いませんが、
しかし、人間というものは、
自分が本当に欲しいものは、
苦労して手に入れるもの
であり、
しかも、それに対しては、時間なり金銭なり、
それ相応の対価を払わねばならぬという、
代償の法則が働くものであると、私は思うのです。
ストォにしても、自分を留学させてくれた両親に報いるべく、
私たちが酒を飲んで騒いだりしている間に黙々と勉強をし、
日本で与えられている時間や金銭のほとんどを勉学に費やしていたわけです。
そのストイックな姿勢が、私を含めた同級生たちの尊敬を集めていたのです。

ここ10年ほど、ちらちらと、大学無償化の話が聞こえてきます。

何度も述べているように、
貧しさゆえに教育を受けられない人がいてよいとは思いませんが、
ちょっと左巻きな感じを受ける政策ですよね。

別に大学に行くことが全てではありません。
世界中にも、日本にも、大学など別に行きたくもなく、
中学を出て働いているが、その生活を楽しみ、そこそこのお金を稼ぎ、
結婚して家族で慎ましく暮らしている人などいくらでもいます。
幸福のために大学は、本来は必須ではないのです。

だとすれば、大学までの費用を無償化するという政策は、
必須ではないものを無償化するという政策なわけで、
最低限ではない配給と言えます。

無償で提供される学問は、
社会からの恩恵であると考えて、
その恵まれた環境を幸せに感じ、
その幸せを社会に返す
という気持ちができればよいのですが、
さて、そう思える人がたくさん出てくるかどうか。

この話はいつか続けます。

[SE;KICHI]
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