止観瞑想

śamatha-vipaśyanā って、聞いたことありますか。
このブログでは6年前にも軽く紹介しましたので、
もしかしたら、覚えている方もいらっしゃるかもしれませんね。

これまた以前にも書いたことがあるような気がしますが、
私は、20代前半のころ、天台宗の僧侶になりたいと願い、
師僧に弟子入りして修行していたことがあります。
そのころ、かなりの時間を割いて体得させられたのが、
宗祖・天台智顗による経典『摩訶止観』に記されている、
śamatha-vipaśyanā、すなわち止観瞑想です。

止観瞑想では、まず、日常的な心の働きを静めます。
人間は、誰かの言動に怒ったり喜んだり、目に入る景色を美しいと思ったりと、
日々、何かを感じたり気にしたり、常に何かに反応しています。
仏教では、その感じた内容には思いを向けないことを目指しています。
自分が感じた内容に思いを向けず、“感じた”という事実のみ受容していると、
「近入定」といって、日常的な心の働きが静まってきます。
そうすると、“感じる”という感覚自体が鈍ってきて、心が反応しなくなります。
最終的には、無色禅という、心の働きがほとんど止滅する境地に入っていきます。

何を言っているのか分からなかったかもしれませんが、
前提として、仏教では、心の働きを止めることを目指しているということです。
止観瞑想はそのためのプロセスです。
では、なぜ、仏教では、心の働きを止めることを目指しているのかということですが、
イライラや悩みをコントロールして、
穏やかに生きられるようにするためです。
5年くらい前に小池龍之介さんの『考えない練習』という本が流行り、
このブログでも考えないことは難しいなぁみたいな記事がありましたが、
最近では草薙龍瞬さんというお坊さんの『反応しない練習』という本も出ています。
曰く、人間、受け身だと、つい、目で見、耳で聞いた情報に心が振り回されるわけで、
反応の感度が良ければよいほど、なかなか、毎日の疲労感が大変だといいます。
そこで、心をコントロールして、イライラや悩みをなくそうと、止観瞑想とはそういう観法です。

最近、流行りの言葉で言えば、これは「断捨離」でしょう。
「断捨離」というと、着なくなった衣服を捨てるとか、そういうイメージですが、
仏教が目指している“心の働きを止める”ということは、
感じても仕方がないことは最初から考えない、すなわち捨てるということですから、
結局のところ、心の断捨離と言えるでしょう。
ちなみに、「断捨離」というのは禅語ではなく最近の造語です。古来からの禅語で言うなら「行解相応」が近いかなと私は思っています。

どういう巡りあわせか、今年、私はこのテーマで、
地元の公務員さんを対象にした講演をする機会がありました。
人間は野生動物ではないのだから、
気になるからといって、気になる方向に走っていかない、とか、
そういう平易なアプローチから入って45分ほど話した後、
30分ほど質疑応答の時間を取ったのですが、
「心は勝手に思うもので、コントロールなんてできないですよ」という、
質問というか、反駁のようなご意見を多数いただきました。
そのあたりは、今夏、弊社内でもにわかに論争があったところですが、
人間として自然な心の動きを止めようという仏教の取り組みは、
心が勝手に作用することを否定してかかるわけですから、
もはや一種の悟りであって、そもそも難しいことであり、
かくいう私も完成しているわけではありません。

しかし、だからと言って、心をコントロールすることをあきらめてはいけません。
イライラや悩みをコントロールして、穏やかに生きられることの価値は、
この慌ただしい毎日において、プライスレスですよね。

『考えない練習』の32ページには、
無駄なことを考えている、ということすら気づいていないと、
当然、無駄な思考の克服はできません。
と書かれています。
どうやら、
「自分は、見たり聞いたりした情報に心が反応して、無駄なことを感じているなぁ」と、
まず第一歩は知るところからのようです。
どうでもいいことは気にするな、ということです。
気になるかどうかが問題なのではなくて、
気にしないと自分で決めることが大事なような気がします。

それにしても、この夏は、ちょっと不快な感じです。
暑いのは夏だから仕方がないとしても、
ちょっとテレビをつければ、
口の汚い女性国会議員の音声データやら、
死神みたいな女優が修羅の道に堕ちていく動画やら、
気が滅入るようなものを延々垂れ流しています。
口の汚い女性国会議員や死神みたいな女優にも言い分はあるのかもしれませんが、
昔の見世物小屋で見た“ヘビ女”とかの気味悪さを感じます。
ちょっと、自分の感性に振り回されすぎではないですか。

それから、森友学園とか加計学園とかも、うるさいですねぇ。
ワイドショーが騒ぐのは、それが仕事なのだから違和感もありませんが、
便宜供与があったのかどうか、国会も大騒ぎしているようです。
しかし、それも、大騒ぎするようなことでしょうか。
誰かが何かを言うと、すぐ怒って反論する人が現れますが、
まず、動物じゃないんだから、感情とか感覚に訴えるのはやめませんか。

みんな、自分の感じたままに行動しすぎです。
ちょっと止観瞑想で心の動きを止める練習をしたほうがよさそうです。

[SE;KICHI]
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No title

なるほど・・・
ワタシ、なんでも気になっちゃうタイプなんですけど、
それって、自分の心をコントロールできてない状態だったんですね・・・
たしかに、こころのままに生きるって、野生動物っぽいですもんね。
これからは、見たり聞いたりしたことに簡単に動揺しない、
強い心を作っていきたいです。
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