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高い税金

・・・というタイトルにしてみましたが、
所得税が高いとか相続税が苦しいとか、そういった話ではありません。

さて、私は、自分の身に舞い込んでくることは神の計らいかもしれぬと考えているので、
よほどの悪事でない限り、基本的に頼まれごとは断りません。
お人好しとバカにされることもありますが、神様には褒められると思っています。

というわけで、最近、県から委嘱される形で県立高校の外部講師を引き受けており、
担当としては職業論を中心にした講義を担当しています。

高校生は、実にフレッシュだなと思います。

最近の若者は考えることが苦手だと言われることがあります。
大人が言うに、自分で考えて動こうとしないではないか、と。

確かに、彼らはグループ討論などは苦手なようで、あまり闊達な議論にはなりません。
私も、着任当初はその様子を見て、「最近の高校生は困ったものだ」などと、
やや苦々しい気持ちを抱えたものですが、
講義後に提出されたレポートに目を通すと、
「グループ討論では言えなかったんだけど・・・」という本音が書かれていたり、
「討論では否定されたけど、やっぱり自分はこう思う」という信念の披瀝があったり、
発信は上手ではないかもしれないけれど、
「考えていないわけではないのだな」と思わされます。

ただ、スマホで Yahoo! ニュースばっかり見ているからなのか、
偏った主張のテレビ番組ばっかり観ているからなのか、
はたまた、周りの大人から示唆に富んだ叱咤を与えられてこなかったからか、
どこかで見聞きした真偽の怪しいようなことを、
「なるほど、そうなんだな」と信じて疑わない傾向があるようには思います。
まぁ、それも、『ためしてガッテン』に心酔する老人みたいなもので、
高校生だからということでもないだろうとは思いますが。

たとえば、一番つらい仕事とはどのようなものでしょうかという私の発問に対し、
ほぼ全員一致で、給料の安い仕事とか、休みの少ない仕事とか、声が上がります。
理由は、テレビで池上彰が言ってたとか、美容院の雑誌に書いてあったとか。
なるほど、それはそれでひとつの意見だと思うのでそれでよいのですが、
それが、ほぼ全員一致であるため、議論とはなりません。

それは仕方がないのです。
大人の言うことをよく聞いて育った結果、
考えなければならないような題材を与えられてこなかったがために、
急に考えろと言われても、その状況に対する想像力が働かないのです。
だとすれば、考える機会を奪ってきた大人たちが悪い
ということになります。

ちなみに、この発問に対して、私の講義での答えはこうです。
この絵を見てください。

死の家の記録

手前の砂山を崩しては砂を運び、奥に新しい砂山を作っています。
全部の砂を運び終わると怖い監督者が現れて、
いま作った奥の砂山を崩しては再び砂を運び、手前に新しい砂山を作れと言います。
つまり、砂山の場所を、意味なく延々と移すだけの作業です。
なんだか奴隷のような仕事内容ですね。
この絵は、当社の Okei 画伯が描いた絵ですが、
ドストエフスキーの『死の家の記録』という作品のワンシーンです。

私は、誰の役にも立たず、何を生み出すわけでもない、
このような、意味のない仕事が一番苦しいと思います。
仕事いうのは、誰かに褒められたり感謝されるためにやっているわけではありませんが、
少なくとも対価をいただくからには、誰かの役に立っていなければいけないわけで、
そういう意味で、仕事は愛だなと思っています。
そこにきて、独りよがりだったり、独善的であることは許されていないでしょうし、
いわんや、この絵のような何の意味も持たない作業は、仕事とは言えないでしょう。

多くの生徒さんにとって、私の話した内容は初めて聞く内容らしく、
そういう考え方もあるのだと驚かれるようで、
そうやって講義を締めくくったあとのレポートでは、
感動したとか、腑に落ちたとか、そういうことを書いてくれます。
もちろん、それは、多分に社交辞令を含んではいるのでしょうが、
私の話した内容がちゃんとなぞられているので、
どうやらそれなりに興味深く聞いてくれているようだと分かり、
私も安堵しつつも緊張します。

だって、彼らの長い人生から見れば、私と関わるのはほんの一瞬。
その、ほんの一瞬の講義を聞いて、彼らは腑に落ちたりしているわけです。
特に、世代的にか、彼らは考える訓練をしてきていないので、
スポンジにように沁み込んでいくのが手に取るようにわかります。
うかつなことは言えません。

講義を終えてみての、講師としての感想は「税金が高いなぁ」でした。
もちろん、立派な大人になってほしいと願って、私も一生懸命話していますが、
自分の発言が若人にどんどん沁みこんでいく緊張感は、
なかなか想像を絶するものがあります。
使命感を持ってやらせていただいているのですが、
そのリスクを考えたとき、「税金が高いなぁ」と思うのです。

[AKA]
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メッチャ分かりやすい絵だネ、Okei 画伯。
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