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梅は咲いたか

『世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし』と、
昔から、桜の花が好きという人は多いようですが、
私は、もともとそれほど自然物に興味をひかれないというのもありますが、
なかでも、とりわけ、桜の花が苦手です。
まぁ、幼いころ、春が来て、
実家に生えていた桜に花が咲くのは確かに綺麗でしたが、
雨が降るたびに花びらが散ってそこらじゅうにくっつくのが汚らしかったし、
白かピンクか分からない中途半端な色にも釈然としない気分でした。
時季をずらして葉桜になると嫌いでもないですが、
今度は毛虫の発生が忌々しい時期に入るので、
いつだったか、かわいい孫である私が毛虫に刺されたことに激怒した祖父が、
もったいなくもその桜の木を切り倒してしまったことを覚えています。

いずれいせよ、桜の花の時季に限れば、
吉野の千本桜とか、遠くから眺めるぐらいじゃないときれいとは思えなくて、
まぁ、要するに至近距離の桜は苦手だということです。

じゃ、何が好きなんだという話ですが、実は、わりと梅は好きです。
それも、緋梅といって、花色が明るい紅色をしているものが好みです。
わりと色味がはっきりしていて、中途半端な色ではないですからね。
私は、最近はあんまりやりませんが、昔から色鉛筆で絵を描く趣味があり、
子供のころは、よく、スケッチブックを持って京都御苑に出かけ、
丸太町駅から京都御所に向かってぶらぶら歩いたところの、
ちょうど皇宮警察の前あたりの梅林で絵を描いていたものです。

それに、以前ご紹介した私の別の趣味から見ても、
桜より梅のほうが魅力的な感じがしませんか。
ほら、桜紋桜紋よりも、梅紋梅紋のほうが、ね。
梅紋 http://kamondb.com/plant/ume.html 桜紋 http://kamondb.com/plant/sakura.html

さて、梅の花を見るのが好きという話をしましたが、
実は、梅を味わうのも好きです。
・・・・・・といっても、梅干しは酸っぱいので苦手で、あまり食べません。
私が好きなのは、梅の和菓子です。

正確に言うと、まず、大宰府の梅ヶ枝餅とか、金沢の福梅とか、
意匠(形状)が梅なだけで、梅の味がしないものは除外します。
それから、これは単純な好みの問題ですが、
若い梅の実を丸ごと蜜漬けして、求肥かなにかでくるんだようなものも除外です。
私が好きな梅の和菓子は、梅の形ではない、梅味の和菓子ということです。

マイベスト梅和菓子は、ダントツで『田むらの梅』です。
岩手県の一関の老舗・松榮堂の代表銘菓です。
梅肉が練り込まれた白餡を餅生地でくるみ、
これをさらに青紫蘇の葉で包んだ和菓子です。
最初に青紫蘇の茎や葉脈の部分が歯が当たり、
やや酸味を感じた後、白餡の甘みに酸味が包み込まれます。
この手の和菓子では『水戸の梅』も有名ですが、
ほぼ同じ構成でありながら、白餡に梅肉が練りこまれている分、
こちらのほうが梅の味が強いような気がします。
この『田むらの梅』、
最近、古い伝承に基づいて白砂糖をまぶしたものも発売されていますが、
私は、砂糖をまぶさないタイプのほうが好みです。
しかし、例によって、富山のような辺鄙なところに住んでいると、
『田むらの梅』どころか、『水戸の梅』すら手に入りにくいので、
近場で売える似た商品ということで、
日常は、『越路の旅まくら』を買っていますが、これはちょっと甘さ控えめです。

次にご紹介するのは、『梅不し』です。
これで“うめぼし”と読み、高知県の老舗・西川屋の菓子です。
「不」って、ネガティブな文字で、なかなか付けませんよね。
しかし、このネーミングは、老僧が手作りのこの菓子を献上した際、
土御門上皇から賜った名前らしく、そうなると拒絶することは不可能ですね。
『田むらの梅』が“餡餅を紫蘇でくるんだ”という構造であるのに対し、
この『梅不し』は、やわらかい求肥の中に刻んだ紫蘇の葉を詰めたものです。
甘酸っぱくておいしいお菓子です。
最大の特徴は一口大というその大きさで、
それが、たとえば茶席などに好適で、上品さを醸し出しています。
ちなみに、『梅不し』という謎のネーミングセンスを発揮した土御門上皇は、
承久の乱に失敗した弟・順徳天皇と父・後鳥羽上皇が流罪になった際、
全然関与してないのに、ドMなのか、「ボクも行く!」と言い、
自ら望んで土佐へ配流になったという、すこぶる変わった人です。
私は、こういうところにそういう人名がチラチラ出てくるところが、
古くからある和菓子の伝承を楽しむ醍醐味だと思っています。

それからもう一品、『乃し梅』も外せません。
完熟した梅をすり潰して寒天に練りこみ、それを薄くのして乾燥した、
山形県村山市あたりに伝わるお菓子です。
まぁ、要するに「のした梅」と言うことで『乃し梅』というわけです。
そもそも、梅という果実は、酸味と甘みのバランスが難しく、
お菓子の素材としては扱いやすいものではないと思うのですが、
このように寒天状にしたことで、直接的な刺激を抑えることができ、
酸っぱさの中にもほんのりした甘さを感じることができ、
さっぱりとした風味に仕上げられています。
藩医だった小林玄瑞が長崎で遊学中、
中国人から梅を原料とした秘薬の製法を伝授されたのが始まりだそうで、
スタートが“秘薬”だったってところが、またおかしさを感じます。
まぁ、『田むらの梅』とか『梅不し』のような“餅系”に比べると、
ヘルシーと言うか、ローカロリーなところも評価ポイントのひとつかもしれません。

梅スイーツ サムネイル、拡大可。
 上段左「田むらの梅」http://kerokko.jp/user/php/review.php?sid=58
 上段中「水戸の梅」http://www.okashi-net.com/meika/kk/mitonoume.html
 上段右「越路の旅まくら」http://www.fukutaya.jp/index.html
 下段左「梅不し」http://ameblo.jp/2011-life/entry-12227889498.html
 下段右「乃し梅」http://www.s-pal.jp/yamagata/floormap/%E4%B9%83%E3%81%97%E6%A2%85%E6%9C%AC%E8%88%97%E4%BD%90%E8%97%A4%E5%B1%8B/ 


いかがでしたでしょうか。

風物詩というのはだいたいそういうものなのかもしれませんが、
春といえば桜、桜の和菓子といえば桜餅なんて、
ステレオタイプすぎて面白みに欠ける感じがしませんか。

たまには、春といえば梅、梅の和菓子といえば……って、
梅についても考えてみてあげてほしいものです。

[SE;KICHI]
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あ、ちょっと分かるかも。
桜って、薄墨色で気分が暗くなるもん。
春は花粉も多いし、憂鬱です。
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