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飛鳥の執念⑦ ~峰富士子みたいな女

今回の『飛鳥の執念』で取り上げるのは、
いつもとちょっと毛色を変えて、額田王とか、どうでしょうか。
額田王は百人一首にも登場するので、みなさんもご存知でしょう。

以前にも紹介している、のちに持統天皇となる鸕野皇女ですが、
その夫・大海人皇子(のちの天武天皇)の元カノが額田王です。
元カノと書きましたが、十市皇女という娘が生まれていますので、
実際には元妻というのが正確でしょうか。
ちなみに、大海人皇子の兄である中大兄皇子(のちの天智天皇)は、
額田王の姉・鏡王女と夫婦関係にあり、
当時は、兄は姉と、弟は妹と、という感じで丸く収まっていたようです。

ところが、日本が白村江の戦いに敗れ、
九州の護りを固めるために都が九州へ移った際、
同行した額田王はしっかり姉さんから中大兄皇子を奪ってしまいます。
自分にも大海人皇子がいたはずなのに・・・鏡王女も気の毒なことです。
この時の額田王が詠んだ歌が、
『君待つと わが恋をれば わが屋戸のすだれ動かし 秋の風吹く』
現代風に読み下すと、
あなたを待ってるときにすだれが動いたから、
あっ!来た、と思ってはしゃいだら風だったじゃん、という歌で、
まぁ、もう、は・や・く・き・て♡ って感じでしょうか。
なんだかエロいですよねぇ。
ちなみに、略奪された側の姉・鏡王女は、同時期に、
『風をだに 恋ふるは羨し 風をだに 来むとし待たば 何かなげかむ』
と詠んでいて、これは、
ぬか喜びさせる風に文句言ってるみたいだけど、
私には風すら来なくて、こんなに泣いてるんですけど・・・・・・という、
負け犬全開の歌です。注1
額田王、悪い女です。

額田王にはこういう魔性の女っぽいところがあって、
その後、中大兄皇子が天智天皇として即位したのち、
近江で行われた天智天皇主催の狩りの席、
額田王は久しぶりに顔を合わせた大海人皇子といい雰囲気になり、
皆の前で堂々と歌を詠んじゃいました。
『茜さす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る』
夕暮れの野原で、私に手を振らないでよね。
番人にふたりのことが知られちゃうじゃない、という、
不倫を彷彿とさせる歌です。
これに対し、元夫の大海人皇子は、
『紫の 匂へる妹を 憎くあらば 人妻ゆゑに われ恋ひめやも』
と、つまり“人妻だと分かってても、こんなに好きなんだ”と詠んでおり、
知られちゃうかどうか以前に、未練たらたらです。

忘れてはいけませんが、この狩りは天智天皇主催ですので、
それだけが理由ではないでしょうが、この時期から、
大海人皇子と兄・天智天皇の仲は急速に悪化します。
そもそも、天智天皇が即位する際、弟の大海人皇子を皇太子に立てたものの、
天智天皇は内心、自分の息子の大友皇子にあとを譲りたくなったようで、
このころには大海人皇子を邪険にするようになっていたからです。

まもなく、天智天皇は崩御し、大友皇子が弘文天皇として即位する注2のですが、
その半年後に大海人皇子は吉野で兵を挙げ、皇位奪還を目指します。
これを額田王はどのように見ていたのか、
ロマンチストの私としては大いに関心があります。
というのも、戦っている大海人皇子が元夫なのは前述のとおりですが、
戦っているもう一人の大友皇子は十市皇女を正妃に迎えており、
額田王にとっては娘婿にあたります。
つまり、額田王にとっては元夫 vs 娘婿
十市皇女にとっては父 vs 夫という構図です。

壬申の乱と呼ばれるこの皇位争いは、わずか1ヶ月で終結します。
弘文天皇は自害し、勝った 大海人皇子が天武天皇として即位しました。
額田王たちも保護されましたが、十市皇女はしばらくして病没注3し、
やがて、天武天皇も崩御、
本妻である鸕野皇女が持統天皇となって君臨し、時代が移るのです。
浮名を流したあの頃の親しい人たちを次々に見送る額田王は、
晩年、どのような心境だったのでしょうか。

注1 ) このあと、鏡王女は中大兄皇子にあっさり捨てられ、大化の改新の盟友・藤原鎌足に払い下げられます。せめてもの救いは、その再婚の相性は抜群だったらしく、夫婦仲が良かったことでしょうか。
注2 ) 弘文天皇は、明治になってから諡号を贈られ天皇として認められた人物で、実際に即位したかどうかは微妙。
注3 ) 十市皇女は大友皇子との間に一男をもうけており、この男児が、長じて葛野王として持統天皇政権で重きをなす人物です。彼は私が密かに注目している人物です。

[SE;KICHI]
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