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ボンタンアメの少年

たとえば、北陸から出張や旅行で名古屋へ行こうとするとき、
“特急しらさぎ”と乗り換えの東海道新幹線がセットになった、
「名古屋往復割引切符」というのがあります。
この切符では、特急は指定席ですが、途中の米原より先、
名古屋までの東海道新幹線は自由席になります。
そういうことなので、特急が米原に着くと、
いそいそと新幹線ホームの自由席車両のところまで歩きます。

先日、出張で名古屋へ向かった際のこと。
米原に特急が着き、新幹線ホームまで歩き、自由席に乗り込んだ私。
慣れた感じで車端部のドア近く、3人掛けのシートに陣取ったのですが、
あとから、母親と子供4人という5人組のファミリーが現れ、
まとまって座る場所がなかったようで右往左往し始めました。
私は、実は子供には異様なほどに優しいので、
気持ちよく、座っていた3人掛けのシートを明け渡し、
隣の2人掛けシートに移動しました。
ところが、そのさなか、子供4人の一番末っ子の、
2歳ほどの女の子が「降りるぅ、降りるぅ」とぐずりだしました。
母親も周囲のお客さんに気を遣って、ヒソヒソ声でたしなめますが、
ちっとも静かにしない娘をデッキに連れ出し、ヒステリックに怒り出します。
デッキでごちゃごちゃやっているので、しょっちゅうドアが開いて、
怒っている内容は丸聞こえなのですが、
そのうち、一緒にデッキに行っていた小学3年生くらいの長男が、
「こんなことなら来なけりゃよかった」とか言い出し、
母親は、「ママだって頑張ってるのに何を言うのか」と、
長男のその発言にヒートアップして、余計に怒ります。
その間、しつこいですが、子供に異様なほどに優しい私は、
なんとなく、自席で二男と三男の面倒を見ていました。
「どこ行くの?」、「荷物いっぱいで大変だね」とか、
「カッコいいリュックだね」、「へぇ、ボンタンアメって、また渋いね」なんて。
結局、母親の怒りが収まったのは次の駅を発車した後で、
私は、自分が座っていた2人掛けシートをもその親子に明け渡し、
別席に移ったものの、なんとなく気にして、
子供4人抱えての移動は大変だなぁと思って見ていました。

その親子は私と一緒に名古屋駅で新幹線を降り、
階段を下りて改札に向かいます。
母親が末っ子を抱え、長男がベビーカーを持ち、二男がスーツケースを持ち、
いやホントに、子供4人抱えての移動は大変だなぁと思いながら親子を追い抜き、
私が先に自動改札に入ったのですが、
どうも私の切符に異常があったらしく、自動改札に引っかかってしまいました。
その間、その親子連れは私を追い抜いて自動改札を出ていきました。
そこで悲鳴。「翔太は? ウソぉ!」
どうやら三男が着いてきていないらしい。

母親は半狂乱で駅員に再入場を掛け合っています。
興奮しているので内容はまたしても私に丸聞こえなのですが、
駅員は落ち着き払った感じで、
いったん改札を出た人を改札内に入れるわけにはいかぬと断っています。
そこで、本当にしつこいですが、子供に異様なほどに優しい私は、
その時点で自動改札を通り損ねてまだ改札内にいることもあって、
まぁ、人相はあんまり覚えていないけど、きっとリュックで分かるだろうと、
その三男を探しにホームにまで戻ることにしました。

再びホームに上がってみると、見覚えのあるリュックを背負い、
手にボンタンアメの箱を持ったまま、泣いている男の子がいました。
私は、実はこういう場面に出くわすことがたびたびあって、
不用意に話しかけると余計に泣き叫ぶことがあることを経験的に知っているので、
その泣いている男の子に話しかけるようなことはせず、
問答無用で抱きかかえ、改札で待つ母親のところへ届けました。
母親は当然、泣いて喜び、これにて一件落着。

何の話かって、しかし、今回も含め、いつも思うのです。
みんな、冷たっ!

子供を4人も抱えていれば新幹線内でぐずることもあって当然と思いますが、
多くの乗客は、舌打ちをしたり、あからさまにため息をついたりと、
母親に精神的な圧迫を与えるばかりで手を貸そうともしない。
かつて、飛行機内で赤ん坊を泣かすなという議論がありましたが、
日本ってこんなだったっけと思うくらい、子連れへの不寛容を感じます。
確かに、世の中には子供が泣いていてもパチンコに出掛けるような、
育児等に対して意欲的ではない母親もいるのでしょうが、
ほとんどの母親に悪意はなく、子供をまっとうに育てるために必死なはずで、
新幹線で子どもが泣こうものなら焦って黙らせようとするものです。
それなのに、今回のように周囲の乗客は、
あからさまに困っている母親がいたとしても、見て見ぬふり。

そして何より、ホームにいた男児が泣いているのに、みんな無反応。
もちろん、たくさんの人が行き交っているのですが、みんな無反応。
もしかして、この男児は、私にしか見えていない幻かと思うほど、みんな無反応。
ちょっと、異常ではないでしょうか。

私は、別に偽善者ではないのですが、
いちおう、困っている人を見たら助けようと、
家庭や学校で教わって育ってきましたし、
かねがね言っているように、
神様に Good Job! と褒められる自分でありたい”というのを、
自身の行動基準にしているので、
泣く子を見殺しにすることは、信念として不可能です。

何年か前に亡くなった私の妹は、
東日本大震災の津波で被災地の街が壊滅している様子を自宅のTVで観て、
別に親戚が被災したわけでも友人が流されたわけでもないのですが、
もう居ても立ってもいられなくなって、すぐに銀行に出向き、
赤十字に100万円を寄付する手続きをしたそうです。
本人が亡くなっている以上、どのような意図でそうしたのかは分かりませんし、
この例が正しいかどうかも分かりませんが、
困っている人を見たら助けようという点で、
少なくとも、ホームで泣く男児を放置する社会よりは健全に思えます。

「〽とんとんとんからりと隣組」ではないですが、
みなさん、もっと関わっていきませんか。

子供はうるさく泣くものですし、走り回ったりもします。
しかし、子供というのは、将来の繁栄のため、社会全体の宝なわけですから、
その子供を育てることは、周囲の大人全体の義務だろうと私は思います。
もちろん、放し飼いの子供のうるささに耐えろとかいう話ではありませんし、
社会の秩序を教え込むことも大切ですが、
それはふつう、その場で教えたり諭したりするものであり、
「連れてくんなよ」ということでは、教える場がないではないですか。

自分の不快感等を前面に出すのではなく、
困っている人を見たら助けようという、
それぐらいのことを、たまには思い出してみたいなと思う私でした。

[SE;KICHI]
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