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士魂商才

戦前に石油販売業で身を起こし、
戦後日本の石油産業と経済発展に大いに貢献した、
出光興産創業者の出光佐三氏。

私は、映画を観るのはあまり好きではないのですが、
昔から偉人伝として出光佐三氏のことは大好きでしたので、
ついに映画館に行ってきました。
『海賊とよばれた男』を観に。

公式HP → http://kaizoku-movie.jp/

私自身は凡庸な人物であり、そう変わり者でもないのですが、
「これは大事」と決めたこと以外はどうでも良いと考えるタイプなので、
そういう私にとって、この映画の主人公は親和性を感じるものでした。

終戦から2日後、焼け野原の東京で、國岡商店の店主・國岡鐵造は、
奇跡的に焼け残った本社に集められた社員たちに向かって、
開口一番、「愚痴をやめよ」と言います。
そして、社員たちが、廃業かリストラかと戦々恐々となっているなか、
一人もクビにはしないという方針を示します。

これは大変なことです。
この映画の主人公・國岡鐵造は出光佐三氏がモチーフとなっているのですが、
実際の出光佐三氏も、会社資産のすべてを戦争で失った際、
そのことで意気消沈している幹部に対し、
「ウチには最大の財産である社員が残っているじゃないか」と叱咤して、
一人の社員も切らないと宣言し、私財をなげうって社員を養っています。
さて、いま、果たして、弊社も含め、
社長さんが私財をなげうって私たち社員を養ってくれることがあるでしょうか。
それは極めて高度な使命感と言わざるを得ません。

出光佐三氏は、のちにアメリカで講演していますが、
私が取り寄せた講演録によると、
出光では一人もクビにしないというが、出来が悪い社員はどうする?と、
聴衆から質問があり、これに出光佐三氏は、
あなたたちの家族の中にも、出来の悪いのが1人や2人いるだろう。
そういうとき、あなたは彼らを家族から切り捨てるのか?
そうじゃないだろう。
そういう社員を教育していくのも企業の役目なのだ。
と答えています。
どこの企業も社員教育はしますし、社員は財産だと口では言いますが、
実際に徹底するとなると、覚悟を問われることで、大変です。

映画は、終戦後を軸に、戦前の回想を交えながら進みます。
終戦後すぐ、國岡商店は、
国策会社である石油配給統制会社など既得権益との戦いに敗れ、
それまでの商材であった石油を回してもらえない事態となるのですが、
國岡鐵造は、ラジオの修理とか底引き網とか、
迷わずに何でもやることを決断し、食いつなぎます。
そこだけを見ると節操のない商売人に見えなくもないのですが、
彼の信念は、前述の出光佐三氏同様、
何よりも社員を家族同様に大切にする大家族主義なので、
それは社員を養うための決断です。
社員も、その愛情に応えようと一致団結するわけです。
途中、吉岡秀隆演じる部下・東雲の、
「オレは店主が言ったことはやり遂げたいんだよ」と叫ぶセリフが印象的でした。

これはどうなんでしょうか。
たとえば石油販売の会社に入社後、
ラジオの修理をやれと言われたら、もしくは底引き網をやれと言われたら。
いまならブラック企業とか、言われてしまうんでしょうか。
私は、出光佐三氏のすごさは、
何よりも、「自分は国のために何ができるか」という考え方を、
生涯失わなかったことだと思います。
彼が自分の生活とか遊興とか、自分のことしか考えないリーダーであったなら、
社員たちがついて行くことはなかっただろうと思います。
しかし、彼が、
「いざとなったら自分のことはどうでもいい。それでもお前たちを守りたい」と、
そういう人物であったからこそ、社員たちが団結できたのでしょう。
余談ですが、ブラック企業かどうかの境界は、仕事量の問題ではなく、
会社や経営者がどういう思いで何をしているかによるのだろうと思います。

映画では、最終的に欧米の大手石油企業と対立。
石油の供給路を断たれた國岡商店が、中東に活路を見出すため、
自前でタンカーを建造し、
産油国であるイランを経済的に封鎖していたイギリスから隠れ、
拿捕覚悟でイランのアバダンに石油の買い付けに行きました。

これは昭和28年に起きた、有名な日章丸事件ですね。
これは、武装を持たない一民間企業である出光興産が、
強大な海軍力を誇っていたイギリス海軍に喧嘩を売った事件であり、
当時、閉塞感のあった日本では大喝采を浴びた事件です。
おそらく、この事件が、世界的な石油の自由貿易が始まる嚆矢となりました。

いやぁ、日本の復興に人生を投じた男の、生き様を見せつけられた作品でした。
彼は、どんな絶望的な状況でも決して諦めずに考え抜き、
既成概念を覆す奇想天外な着想と、即断即決の行動力で何度も危機を乗り切ります。
あの時代に、日本の石油会社だけでなく、
世界の産油国をも支配下に収めようとする欧米メジャーに、
信念を持って反旗を翻した日本人がいたことは、今考えてもすごいことです。

現代の日本人に、この侍精神はあるでしょうか。
私たちは、ちょっと困難に突き当たると反射的に後退してしまう、
ザリガニみたいな生き方をしてはいないでしょうか。
もしかしたら、困難に突き当たる前に後退したりして、
ザリガニ以下かもしれません。
ちょっと意に沿わないとブラックだパワハラだと大騒ぎして退転し、
そうやって他人と関わるのが面倒だから、いっそ他人とは関わらず、
あんまり話すことなく、自宅と職場の往復で日々を過ごしていたり。
いやいや、自分はそうじゃないと否定してみても、
出光佐三氏のように人生を燃やし尽くしているか
と問われたら、果たしてどうでしょうか。

年初にあたり、この出光佐三氏の生き方を、自分の理想と定めたいと思います。


https://www.youtube.com/watch?v=03va5qDFyzY

さて、最後にもう一度、ちょこっとだけ映画の話。
95歳まで生きた出光佐三氏の一生をたどるには上映時間が短すぎ、
出光佐三氏を尊敬する者としては、
それぞれのエピソードへの踏み込みが甘い気もするのですが、
それにしても特殊メイク技術はスゴイですね。

[SE;KICHI]
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あ、岡田くん、90代まで演じて、凄かったですよね。
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