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サザエでございます。

といっても国民的アニメの話ではありません。
珍スポット好きには有名な建築物群なのですが、
みなさん、サザエ堂というものをご存知でしょうか。
別にサザエの神様が祀られているお堂ではありません。

急に面食らうかもしれませんが、巡礼の話をします。

通常、たとえば『西国三十三番札所』という札所巡礼の場合、
基本的に、順路に沿って33箇所のお寺を巡り、
各寺に祀られている観音様を拝むというスタイルになります。
『西国…』の場合は、第1番の青岸渡寺(和歌山県)から始まって、
奈良・大阪・京都・兵庫・滋賀とコースを巡り、
最後は第33番の華厳寺(岐阜県)で終わるわけです。
これは、そもそも全行程1000キロメートルを超えるコースで、
なかには舟に乗らないと行けないお寺があったり、
急な石段を登らないと本堂に到達できないお寺があったりと、
現代でも巡礼自体にある程度の困難を伴うものです。
現代人の私ですら、コンプリートには1週間以上かかったので、
徒歩で巡るしかなかった江戸時代の人にとって、巡礼とは、
何日も何日も歩き続けるという、想像を絶する行程だったはずです。
その巡礼は、信仰心のなせる業です。

信仰心のなせる業、なのですが、やはり大変なことなので、
「もっと手軽に巡礼できないかなぁ」と考える人が出てきます。
そこで発明されたのがサザエ堂です。

発明したサザエ堂には札所の観音様100体がまとめて祀られています。
つまり、ひとつの堂にお参りするだけで、
西国三十三番のほか、坂東三十三番秩父三十四番の、
合計100寺を参詣したことになるという、
真面目に巡礼していたら身の危険を感じるような長大な行程を、
ひとつのお堂で済ませることができるという実に便利な発明です。
少し前に、富士塚についてご紹介したことがありますが、
あれも発明の動機は「もっと手軽に富士登山できないかなぁ」なので、
この種の発明は、一種の江戸時代トレンドだったと思われます。

しかし、このサザエ堂のすごいのは、
単に100体の観音が集めてあるだけではありません。

最初に説明しましたが、巡礼というものは、
第1番から順路のとおりに巡るものです。
サザエ堂に100体の観音様が一堂に会していたとしても、
第1番から第100番まで、順番に拝まねばなりません。
サザエ堂のすごいのは、お堂が、そうなるように設計してあるところです。

3階建ての堂内は右周り(時計廻り)で参拝する構造で、
100体の観音像を順路に沿って1体ずつ拝観できるようになっているのですが、
参拝しているうちに自動的に3階に上がり、下りはまた別の順路で降りてくる形で、
その順路は、手すりや階段、太鼓橋などにより立体的に隔てられているため、
一度も同じ場所を通らずに、つまり同じ観音様の前を二度通ることなく、
全ての観音像を拝観して出口まで出られるという仕組みです。
われながら説明の下手さにうんざりしますが、
簡単に言えば、入口を入って、観音様を拝みながら歩いていると、
いつのまにか一筆書きで出口にまで到達しているという、
非常に複雑な構造を持った観音堂なのです。
で、見た目がサザエの貝殻っぽいので、サザエ堂と。

会津・円通三匝堂 http://chindera.com/sazae.html
注)見た目は普通のお堂で、中が渦巻っていうタイプもあります。

ドラクエで、洞窟なんかをずんずん進んでいくと、
どういうわけか街の宿屋の裏あたりにポッコリ出たりして驚くことがありますが、
このサザエ堂、実際に行ってみるとそういう感じです。
自分が、特に意識することなく歩いているだけで建物を3階まで上がっていて、
また、特に意識することなく、知らずに出口から出されていくという感じが、
なんというか、不可抗力感があって、まさに狐につままれた感じです。

埼玉・成身院 http://chindera.com/sazae.html

なぜ、これだけグルグル回っているのに一度も同じ場所を通ることなく、
他の参拝者とすれ違わずに外に出られるのか。
なぜ登りは右回りなのに下りは左回りと反対になるのか等、
下手をすると夜も眠られぬほど、訳が分かりません。
しかし、それが木造で、江戸時代の発明であるとすれば、
何とも言えない先人の素晴らしさを感じ、なんだか陶酔した感じにもなります。

私が初めて行ったサザエ堂は群馬県太田市の曹源寺のもので、
無意識に出口に排出された後、どういう仕組みでそうなったのか、
思わず、検証のためにもう一度入ってみたほどの興奮でした。
現在、実際に内部を拝観できるのは、この曹源寺のほか、
会津と埼玉に1箇所ずつあるぐらいですが、
これはぜひ体験をお勧めします。

[SE;KICHI]
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