時に、”事実は小説よりも奇なり”という言葉を耳にしますが、
まさにこの出来事はその通りだと思いますね。
前回の続きから。
私「話は少し変わるが、今回のことで、I君を始め、皆がマルチ商法のこと言ってるよ。
マルチ商法をやり始めてから君は変わったと。
そのマルチ商法で稼いでるならご祝儀は払える筈だ、
月1000万円稼げるならそれくらい払えるよね!?と。
お金に目が眩み、マルチ商法のせいで人間的な心まで欠如したのか、
そこで関わる人達はそんな非常識な奴らなのか…とね。」まぁ私も若干は煽り気味であったと思いますが、この際です。
思っていることをぶちまける会ですから。
彼は想像通り、反論してきました。
U「それは違う!そんなところではない。
俺はあいつらに、俺が良いと思ったから薦めた。
それなのに、なぜここまで否定されなければいけないのか?」私「F君の時もね?彼だって本当は結婚式呼びたかったかもしれないのに、その件で…」U「いや、あれもあいつの早とちりで、最後まで話聞かず出て行った。
あいつの為を思ってこちらは話しているのに、あいつ誤解して、なぜ否定するんだ?
俺は良いと思って話しているし、友達に薦めたいと思って話すのは当然だろう?
それを聞かずに出て行って、批判されるのは理解できない。」私「君が理解できなかろうと、これは皆の反応という事実なんだ。
そして、今回のことで、皆が君の信じているマルチ商法に言及した。
そこに今回の振る舞いの原因があるのではないかとね。
不本意だろうけど、指を指されているんだよ」U「いや、だから、マルチ商法は関係ないじゃん!
それはそれ、これはこれやないか。俺は自分が信じるからやってる。
これを批判されるまでは話が違うと思うぞ!」…脱線しているのは分かりますが、
私は違和感を感じて引っかかっていたので、もう少し話をしてみることにしました。
そして怒りの表情を露わにするU君の言葉をさえぎるように続けます。
私「いや、待て待て待て。待ってくれ。
さっきから聞いていると、どうも違和感を感じる。
君さ、ずっと俺が俺がって、自分のことばっかじゃない。
F君についても、他の皆も、話した後にちゃんと話を聞いたの?
怒った相手に対して、ちゃんと最後まで話をして聞こうとする努力はした?」U「いや、しようとしたけど、あいつらが耳を閉ざしたんやないか!」私「そこ!そこだよ!
あいつらが!とか、どこか他人や環境の所為にしているようにしか聞こえないのよ。
皆の反応に対して、なぜそんな反応するのか、
自分に原因は無かったか?と考えた?
4年前も言ったけど、俺たちの声が聞こえてた? そもそも聞こうとしてたのか?
俺ならば、それでも彼らに寄り添って、話を聞こうとする努力、
本当の友達に対してすると思うんだわ。
例えば自分の信じるものを伝えたいのなら、真剣に最後まで伝える努力をする。
その場で理解してもらえなくても、関係を壊したいとは思わないからね。
機嫌を損ねても、一度はそれに対して謝るし、
少しでも元に戻るようだったり、相手を思いやって努力すると思うんだわ。
それがどうだ?
あいつらが、とか、そういうところだよ、皆が言っているのは。
結局、俺が俺がと、己の都合ばかり押し付けて、
相手の話を聞いてあげたのか?ってことよ。
一方通行のプレゼンではなく、対話になっていたの?」私「F君のことも、よくよく聞いたら、
その後、直ぐにでも連絡くれて謝ってくれたら、許したかもしれないと言っていたよ。
それを切り捨てるように、”話を聞かないあいつが悪い!”みたいな感じで片付けてしまうのは、本当の友達に対する行いなんだろうか。
結局、そういう振る舞いが原因にもなって、否定されたりするんじゃないのか?
いくらマルチ商法が良い商品を扱っていようともね」怒り全開の真っ赤な顔をする彼に、まだまだ刺すように続けます。
私「また、手段としては友達へのアプローチはあるんだろうけど、
皆も人間だから、そう簡単にはいかないと思うよ。
儲かるというのは夢のある美味しい話だけど現実味も無いし。
何より、友達など人間関係というのは、
理論で片付けられるほど、単純ではないんだ。
利害関係なら尚更。
むしろ利害関係になると、友達というものが成り立つかも怪しくなると思う。
金の切れ目が縁の切れ目という言葉もあるし、
殊更お金に関しては敏感なのよ。
トラブルも多いしね。
いくら勉強をして立派な商品知識を付けトーク力を上げても、
人間の心の機微に無知であれば、結果も出せないだろうよ。
君も営業マンなんだから、少しはわかるよね。
そういうところもあって、君にとっては不本意かもしれないだろうけど、
君の信じるものまで批判を受けるんだと思うよ。
極端な例だけど、どんなに立派な組織、会社、宗教に所属してても、
犯罪に手を染めたり人を殺したりしたら、
その人だけでなく、その人が所属する何某まで批判されるのは世の常じゃないか。
世のこれらを大事に思う人達は、
少なくとも大事なものを守りたいと努力しているはずさ。
まずは人として社会人として、恥ずかしくない振る舞いを行う。
その上で信念を持って生きていると思う。
だから、君も君が大事だと思うものを批判されたくなければ、
そのマルチ商法の看板に泥を塗るようなことをしてはいけないやろ」ここまで来ても、彼は半分理解、半分納得できていない感じでありました。
その後もマルチ商法について皆は誤解していると言わんばかりに、
弁解のような小話をされましたが、問題の本質はここにはありません。
いつまでも続けても意味がないことは分かりきっていました。
彼も饒舌になって言葉を連ねました。
ただ、先程の怒髪天の如き形相ではなく、何とも言えない表情になっていました。
そんな彼を見つつ、結論を畳み掛けるように、私は切り出しました。
私「話が脱線して関係の無い議論になってるわ(笑) 戻そう。
ともかく、君のやったことは、A君以上に、親友として人として、俺は許すことができない。
皆もそう思っているよ。
もし君の結婚式の時、俺(K)が君と同じことをして、そんな目に遭わされたらどう思う?」U「…まぁ、どうした?って思うわな」私「うん、普通の感情では理解できないよね。
普通は穏やかではいられないと思うよ? それはほとんどの人がそうだと思う。
また、それをされたら少なからず、式には似合わない遺恨を残すだろうさ。
そんなことが現実に起きたんだわ。君の振る舞いによって。
だけど、君も自分にとっては18年来の大切な親友だ。
ここまでぶっちゃけて、本音でぶつかれるのがその証拠だし。
あいつはクズだと裏で批判して、簡単に切り捨てるのは誰にでもできる。
皆がそうしても、自分はそんなことをしないし、したくない。
腐っても親友だ。
F君もそうやったけど、他のI君をはじめ、
結婚式には君を呼ばないと口々に皆言ってる。
あんなに仲が良かった友人なのに、こんなことでね・・・。
でも自分は君を呼びたい。大事な親友だから。
例え君に呼ばれなくても、自分はどんなカタチでも、君をお祝いしてあげたい。
それに嘘はない。
それが本当の友達として、人としての自然な振る舞いだと、俺は思う。」U「あぁ。ありがとう。
まさかここまでお前が踏み込んで言ってくれるとは思わなかった。
正直、誰にも相談できず、どうしようかと思っていたところだった。
俺もここまでぶっちゃけれるのはお前だけだと思う」彼は静かに、目を細め少し嬉しそうな笑みを浮かべて話してくれていました。
この時点で、既に会ってから4時間が経過していました。
時間を忘れ、集中していたことに驚きです。
私「今からでも遅くない。2人に謝るべきだから、連絡を取りなよ」U「うん。俺、どうしたらいい?」先程までのマルチ商法についての不毛な水掛論の時とはうって変わり、
建設的な議論に変わりました。
私はこの話題になることを予想し、あらかじめ親や上司等に相談、
更にネットで対応策を調べてきていました。
私「調べたけど、
今からそのままの3万という金額を渡すのは逆に失礼にあたるそうな。
世には何らかの理由から結婚式に来れなかったという人もいるようで、
そういった人の為にアドバイスの記事が書いてあった。
そこには、1万ほど包み、後はお菓子など何かを添えて渡す例があるみたいよ」正直、もういい大人です。
この先は面倒を見る必要など全く感じていませんでしたが、友達ですし、
言い出しっぺということもあり、手取り足取りではありませんが、
一応の流れを説明してみせました。
私「まずは気持ちを伝えるには、本当は直接会うことがベストだけど、先ずはLINEで良いからメール文を作ってアポを取る。
それから直接会って謝ること。謝意と誠意を持ってね。
その時、ご祝儀とお菓子を持参して、会ってきなよ。
A君の性格からも、敵じゃあるまいし無下にすることないと思う。
例え都合が悪くても、それこそ嫌がられても、ここは引かず、
ちゃんと向き合う姿勢が大事だろう。
大事な友人だと思うなら、そこまでするものだと思うし、自分ならそうする」うんうん、と頷いて、携帯にメモする彼。
早速、A君のLINEのトーク画面に謝罪文を書き込んでいました。
今直ぐにでもやる必要があると説いた私は、
明日にでも連絡して、早々に会っておいでとアドバイス。
気づけば4時間半も経ち、かなり疲れましたが、言いたいことも話せましたし、
深夜であったので、いい加減帰ることにしました。
帰り際、彼は吹っ切れた顔で私に言いました。
U「今日は遅い時間までありがとう。
ここまで言ってくれるのはお前しかおらんと思った。
ぶっちゃけ会わない時間も長く、1番会いづらいのがお前でもあった。
今日も何か言われるだろうなと身構えていたけど、やはり結婚式の件だった。
でも、言いづらいことも本音でぶつかって言ってくれて、ある意味助かった。
正直、他のI君やA君はここまで話せない。
良い友達を持ったと思っている。ありがとう」嬉しい言葉を言ってくれるではないですか。
ともかく、明日直ぐにA君夫妻に連絡するんやぞ!と言い残し、
私は帰途につきました。
クタクタでした。
速攻で潰れましたが、何とも言えない満足感というか、
希望を感じることができたと思います。
後日、仕事の休憩中に、U君から連絡がありました。
A君宛のLINEについて、この文面で良いか訊ねる内容です。
それくらい27歳なので分かるだろ!と思いましたが、
とりあえず2人の名前の呼び捨てはダメだろうと言って、
概ねオッケーの返信をしました。
夕方、再び彼からLINEが。
そこには、A君とのLINEのトークルームのスクショと、
来週は忙しくて会えない旨の内容が来たから、どうしたらいい?とありました。

厳しいこと言われても向き合いたいという彼に、
私は、それでも会いに行くんやと返信しました。
家も知ってるので、迷惑にならない時間に行って、渡してくること!と。
そしてそこで彼からの連絡は終わりました。
後日、再びA君夫妻と会い、食事に行く機会がありました。
私は何も知らないのを装い、サラッと夫妻に聞きました。
私「どう?あの後、U君と連絡なんか取ったりしたの?」
A「え、あぁ。連絡はあったよ。
でも来週は厳しいと返事を送った。それ以降ないよ?」
え!? なんやて??!!再び驚くことになるとは思いませんでした。
また、既読無視だったそうです。
U君の善性を信じた私は、簡単に裏切られたような気持ちになりました。
まぁ、本質は私に対しての行いではないのですが。
マルチ商法含め、ここまでガチガチになった関係性です。
I君など、それぞれの関係が複雑になった中で、簡単には変われません。
A「もういいよ。ありがとう。
あいつにはもう何も期待しない。そんなやつになってしまったんや」
I「最低過ぎて言葉も出ん。
Kに言われなかったら、その連絡さえもしていなかった奴だろう。
マルチ商法が奴を変えてしまったし、俺たちの関係も変えないといけんと思う」
O「どんな気持ちで結婚式に来たのやろう?
マルチ商法以前に、人としての気持ちが欠陥している、サイコ野郎なのか。
マルチ商法関連で借金でもしたんかな?
やっぱそれもあって、ご祝儀は最初から払えなかったんだろうな」
後日、U君にLINEを入れ、
まだ行かないの?早く行った方がいいよ!と連絡をしましたが、
未だそのLINEにすら既読は付いていません。
再び、連絡が取れなくなりました。そのくせ、インスタグラムには、マルチ商法関係者としか思えない知人達と、
“飲み会楽しい‼️”と更新がされている始末…。
(ほとんど友達が縁を切っている中で、相手してくれるのはその界隈だけでしょう)2人をお祝いするといったあの言葉は嘘だったのでしょうか。
私に詰められて出てきた言葉の数々は、苦し紛れの取り繕った虚言なんですか?U君。
そういう姿勢が、皆から問われていると、なぜ気づかないのか。
もういい大人でしょうよ、いい加減気づいて欲しいです。
周りの人、皆いなくなってしまうよ?
そこまで無下にされても、
それでも、私はどこか、彼を見捨てる気にはなれないんです……。
他人を変えることなど、簡単にはできません。
そもそも、できないことかもしれません。それ自体、傲慢な考えかもしれません。
そんなことより、お前が変われと、どこからか言われてきそうな気がします。
しかし、それでも、まがりなりにも相手の心を信じて、
説得しようとした自分はなんだったのでしょうか?
本当に他人を変えられないのでしょうか?
今回に関しては、私は至って普通の、
人としての振る舞いを通したつもりでいます。
もちろん、人の振り見て我が振り直せともあるように、
自らの反面教師として捉えることは大事だと思います。
人のことより、まずは自分が変わること。
自分が変われば環境も変わり、人が変わったように見えていくのも、
私自身経験があります。
問題の根本を他人や環境のせいにせず、
自分の中にあると捉え自己変革していく姿勢は正しいと思います。
また、それは、自らを改善していける希望的な思考だとも。
しかしそれだけでもいけないとも思うのです。
この先、彼のそれが当たり前となって、
その振る舞いと人格で、より多くの人を失望させ、
悲しませるようなことはあってはいけないと感じています。
だからこそ、今は簡単には変われないかもしれませんが、
こちらの粘り強い、相手を変えるくらいのエネルギーを持って伝えていけば、
何れ変わっていってくれると信じ、
これからも、どんなカタチになるかは分かりませんが、
関わり続けていく使命が、私にはあると考えています。
大切な友人ですし、それこそ、他人に言ったように、
私自身の人としての振る舞いだと思うからです。
最後に、U君が映画を2回も観に行ったという、
彼の好きな『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎の、
映画でも放った名言を、彼に贈りたいと思います。
(2回も観たのなら、ぜひここから学んで欲しいです。)
https://koryamata.jp/wordmanager/demonslayer/ch3655/2.html[K.K]