番外編です。
ワールドカップの喧騒から、もう年の瀬です。
流行語大賞には、
ジェイミージャパンが掲げたスローガン
「ONE TEAM」が選ばれましたね。
私もまさかそんなに!?とまで思いましたが。
かなり前から、史上初アジア開催、しかも日本で2019年に!と言いながら、
「本当に盛り上がるの?」
「ラグビーってどんなのだっけ?」
とか様々言われていまして、
関係者からも心配の声が上がっておりました。
しかしご存知大会前の下馬評を大きく覆した、
素晴らしい大会になったことは以前も話しましたし、ご周知の通りです。
それ故の上記の結果であります。
視聴率50%超えの、国民の半数以上が関心を持ってくれたこと、
そして様々な箇所での応援に、
何をしたわけではありませんが、
元ラガーマンである当方も、
少なからず感動と感謝の念を抱いております。
ありがとうございました。先日東京でお会いしたお客様ともその話題となりました。
あのスポーツの精神性の素晴らしさに惹かれ、
素人ながら感動したよと言っておられました。
少しだけでしがあのスポーツをやっていたことを、
今になってですが、とても誇らしく思います。
ありがたいです。
前振りがいつも長くて怒られますが、
もう少しだけ国歌についてご使用させて下さい。
前回では伝えきれなかった、誇り高いのがまだありますゆえ…。
①アイルランド(国歌?)
今大会、世界ランク2位たる最大の強敵として臨んだアイルランドに、
日本は歴史的大金星を挙げました。
だがそれは奇跡的ではなく、必然的なプレーが結実した数々でしたのです。
(長いので割愛です。)
ラグビーアイルランド代表が歌うのは、
アイルランズ・コール「Ireland's Call」です。
https://youtu.be/U58tjr9IYHsこれは正確には国歌ではありません。
ラグビーの為に作られた、ラグビーアンセムと言って良いでしょう。
アイルランドは、ラグビーの世界ではひとつの国となります。
これはイギリスが4ヵ国でグレートブリテンを形成していて、
その中の北アイルランドと、
同じ島ですが、南方の別の国であるアイルランド共和国から構成される、
という意味です。
最近テレビで池上彰氏が取り上げるぐらい、皆にも知られていますが、
かつて宗教間対立、民族独立の歴史によって、
19世紀初頭の独立戦争を端に、60年代の紛争含め多くの血が流れ、
分断されてしまった悲しき過去があります。
しかし分断前から、アイルランドラグビー協会(IRFU)が存在していたため、
諍いなど関せず、まとまりを持ち続けました。
サッカー協会とは違って、別々のチームではなく、
今も民族の融和の象徴として絶大な人気を得ています。
共和国であるので、
共和国の国歌、兵士の歌「Amhran na bhFiann」を歌っていましたが、
別の国、北アイルランドとの問題も踏まえ、1995年に新たに作られ、
95年大会から今まで歌われ続けているというわけです。
なので、ワールドカップやアウェイでの試合ではこの歌のみ歌いますが、
ホームでの試合になった場合、両方歌うという特殊な状況になるのです。
(ちょっと長くなるので、尺取すぎやろ?って感じになりますが…理由あってのことです。)やはりこの人たちも、アツい思いで歌っているのが、
歴史を考えるとよく分かります。魂のラグビーと比喩されるほど、
愚直、真面目なプレーで世界を魅了してきたアイルランドです。
まさにアイルランド魂溢れる、アツい歌が心を打つのでしょうか。
ホームだと生演奏でもあるし、良いですね。
②フランス国歌
知らない人、いないでしょう!
有名過ぎますよね。タイトルこそ出てこなくても、メロディーぐらい一度は聞いたことあると思います。
それはラ・マルセイエーズ「La Marseillaise」です。
https://youtu.be/UDkUZ2AdXZI2011年大会の決勝戦です。
前回ご紹介のニュージーランドとのつながりですが、
改めて見るとあまりにも対照的です。
フランス革命時のマルセイユ地方の兵隊の歌であり、
国民にとっても馴染みのある未だに歌われている、明るい曲です。
もともと、主君を倒せ!という過激な歌詞であったために、
未だそのメロディーの歌を歌っていることから、
世界的に批判も浴びることがある曲だったりしますが、
今は歌詞を変えられて歌われています。
ラグビーフランス代表は、かつて世界最強のスクラム大国として名を馳せました。
それもあって、ワールドカップでも、幾度も決勝に進出してきた、
下馬評を覆すダークホースです。
なのにいつも優勝に一歩届かず、
今回もギリギリのところで準決勝には上がれませんでしたが、
力のあるチームであるのは間違いなく、次回大会のホスト国です。
③イタリア国歌
変わり種といったところでしょうか、でも私は好きなんです。
イタリア国歌は、マメーリの賛歌「Inno di Mameli」です。
https://www.youtube.com/watch?v=NAZ7iFji2s4 あの高名なオペラ王のヴェルディが編曲した曲です。
(日本でも有名な方です。)国歌としては、とても明るく、そして楽しい曲調です。
何というか、イタリア人の気質というか、上手く表しているなと感じます。
実はこの歌、できたのも19世紀と最近で、歌われ始めたのも70年近く前、
そして正式に国歌として制定されたのもなんと2017年!?の年末です。
これにはびっくりしましたが、歌も5番まであって結構長いんですよ。
それでも、私の中の国家像を大きく変えたものです。
サッカーはご存知、2006年ワールドカップでは世界一に輝くなど、強豪ですが、
ラグビーはいまひとつというイメージがあります。
欧州6ヵ国対抗戦である、ヨーロッパラグビーの最高峰大会、
シックス・ネーションズ
(イングランド・ウェールズ・スコットランド・アイルランド・フランス・イタリア)においても、
最後に加わったまだ発展途上の国ではあります。
それでも日本代表からは強豪国として扱われ、
最近まで勝てなかったチームであります。
特に今大会で代表を引退した、
スキンヘッドの主将、セルジオ・パリセは世界的No.8として、
個人としては非常に高いスキルと評価を持つ選手で、
なんとワールドカップに5大会連続出場という、まさに生きる伝説です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%82%AA%E3%83%BB%E3%83%91%E3%83%AA%E3%82%BB彼が昔から好きだったこともあり、今ワールドカップのイタリア戦は全部観ました。
他にも成長著しい選手は結構いまして、日本同様、これからが楽しみなチームです。
☆ロシア国歌
日本が初戦を戦い白星を掴んだ、まだ格下ではあるロシア代表の国歌は、
「祖国は我らのために」という曲です。
これはかつてロシアが、ソ連だった時代の曲をベースにしています。
曲名も変わっていません。
ソ連時代、スターリンのもと、
セルゲイ・ミハルコフという児童文学者が歌詞を書きました。
その勇壮な曲調と共産主義の勝利を称えた内容が、
冷戦敵対国アメリカにも勝る尊大さを兼ねているとして、人々から愛されておりました。
ソ連崩壊後、初代大統領のエリツィンが新しい国歌を採用するも、
歌詞もなく、アメリカにも劣るとして、
議会や国民から元の国歌に戻せと声が上がりました。
これに新しく大統領となったプーチンが、強いロシアを掲げて民衆の心を掴むべく、
もうかなりなおじいちゃんになるミハルコフに歌詞の変更を依頼して、
国歌法のもと2001年に制定しました。
国外からはソ連の復活だとか危惧されていますが、
かつての強いイメージが戻ったと国民から広く支持され、
法律によりテレビやラジオで1日に2回は流すことが義務付けられているほどです。
建国記念式典など、様々なイベントでの演奏もかなり力の入っている圧巻ぶりです。
(検索するとなかなか迫力が有ります。)https://www.youtube.com/watch?time_continue=7&v=tHNcAZYPY_E&feature=emb_logoロシア代表の映像ではなく、ソ連時代の歌詞で、
映画「ロッキー 4」の宿敵イワン・ドラゴと対決するシーンで使用されたのが、
私にとって、とても印象的です。
もちろん設定上、モスクワでの試合なので、
観衆の盛り上がり、曲が流れたときの一斉に立つ姿、
雰囲気は完全に異様なまでにナショナリズムを感じる表現がなされています。
これは製作側が、冷戦時の敵対国で、
よく分からないソ連の暗いイメージを表現した1幕でありますが、
(対してアメリカを表す明るいシーンがあります。)相手を知らないからと疑って、ここまでやるのかと思う、考えさせられるシーンです。
映画の中でも登場人物が言っていましたが、
同じ人間なのに、なぜそちらは正義で、
こちらは悪と決めつけるのか?と。
両国融和の風潮の時代をそれから迎えていく中にあって、
スタローンが伝えたかったことは、それを考えさせることにあったと言われます。
話は大きくずれましたが、そんな感じでいろいろある曲です。
ここの載りきらない、様々な国歌があります。
どの国も、歴史と人の思いが溢れており、
まだ言い足りないことがたくさんありますが、ここまでにしておきます。
まさかラグビーからここまでくるとは、自分でも驚いております。
[K.K]